ホームページの相談で、見積もりより先に聞かれることがあります。「丸ごと作り直したほうがいいですか。それとも、いまのを直せますか」。そして次に、「ドメインは新しくしたほうがいいですか」。
答えは、判断は見た目でなく3つの条件で決める、ドメインはどちらを選んでも捨てない、です。この記事は、その3つの条件と、ドメインを残す理由、移転するときの段取りを書いたものです。費用の相場はホームページリニューアルの費用相場と進め方5ステップに分けています。
結論:見た目でなく、3つの条件で決める
「古く見える」は作り直す理由になりません。見た目は直せます。作り直すかどうかを分けるのは、次の3つです。
| 条件 | 直す(ページを足す) | 作り直す |
|---|---|---|
| ① 価格・事例・困りごと別のページを足せるか | 足せる | 足せない(テンプレートの制約、固定ページ数の上限) |
| ② 自社で更新できるか | できる | 制作会社の名義・古いWordPress・担当者がいない |
| ③ スマホで読めるか | 読める | 読めない(文字が小さい、横にはみ出す) |
3つとも問題なければ、直すほうが速くて安いです。直すというのは、デザインをいじることではなく、足りないページを足すことです。当社のサイトでも、問い合わせを連れてきたのは新しいデザインではなく、事例を1件1ページにしたこと、価格を文字で公開したこと、困りごと別の答えのページを作ったことでした。
1つでも無理なら、作り直します。特に②が引っかかると、直したくても直せないままになります。「制作会社に頼まないと1行も変えられない」「WordPressの更新が怖くて触れない」という状態は、作り直しの理由として十分です。
ドメインは、どちらを選んでも捨てない
ここが、いちばん損をしやすいところです。
ドメインは住所で、サイトの中身は家具です。中身は入れ替えられますが、住所を変えると、いままで集まった縁が切れます。縁というのは、他のサイトから貼られたリンク(被リンク)と、検索エンジンやAIが何年もかけて積んだ評価です。
625ドメインから被リンクがあるのに、検索流入が月1件だった例
山梨の注文住宅の工務店の方から、AI検索対策と、サイトを作り直すか新しいドメインで作るか、の相談を受けました。
調べると、そのドメインには625のドメインから750本の被リンクがありました。国土交通省、大手建材メーカー、住宅の保証検査機関、省エネ関連の団体など、簡単には貼ってもらえないリンクです。ドメインの評価(ドメインレーティング)は21で、地方の工務店としてはかなり高い数字です。
ところが自然検索の流入は月1件でした。検索で拾われている言葉は3つだけ。
原因はドメインではなく、中身でした。リンクが集まっていても、検索されている言葉に答えるページがなければ順位はつきません。「ドメインパワーは高いのに検索に出ない」状態そのものです(仕組みはドメインパワーとは?高いのに検索に出ない理由に書いています)。
この場合の正解は、サイトは作り直し、ドメインはそのまま使う、です。新しいドメインで始めていたら、625ドメインの評価をゼロから積み直すことになっていました。実際にドメインを継続して作り直す方向で進めています。
「301で転送すれば引き継げる」は半分だけ正しい
旧ドメインから新ドメインへ転送(301リダイレクト)を設定すれば、評価は引き継がれる、と言われます。これは半分正しくて、半分違います。
- 転送で引き継がれるのは評価の一部で、全部ではありません
- 旧ドメインの契約を切った時点で、転送も止まり、引き継ぎも終わります。つまり旧ドメインを払い続けるなら、最初から旧ドメインで作ればいい
- 被リンクを貼った側のサイトは、転送先に貼り直してはくれません
ドメインを変えてよいのは、次のどれかに当てはまるときだけです。
- ドメインが制作会社の名義で、どうしても取り戻せない
- 社名やブランド名が変わり、旧ドメインが意味をなさない
- 旧ドメインに迷惑行為の履歴があり、評価がマイナスになっている
当社も、自社のサイトで同じ判断をしています。店舗向けのメディアをこのサイトに統合したときは22本の記事を1本ずつ転送し、AI検索対策のサービスは別ドメインで始めていたものを、このサイトの配下(/llmo/)に戻しました。このサイトのドメインに積まれた評価を失わないためです。
作り直すときの段取り(ドメインを残す場合)
ドメインを残して中身を作り直すときの手順です。ここを飛ばすと、公開した日に順位が消えます。
- 旧URLの一覧を出す。検索で表示されているページ、被リンクがあるページを、Search ConsoleとサーバーのログやAhrefsで洗い出す
- 旧URLと新URLの対応表を1対1で作る。同じ内容のページは同じURLにするのが最も安全。変える場合は旧→新を1行ずつ対応づける
- トップへの一括転送はしない。全部をトップに飛ばす設定は、検索エンジンから「ページが消えた」と見なされ、評価を失う
- 転送を残し続ける。公開後に消さない。被リンクは何年も前のURLに貼られている
- Search Consoleで新しいサイトマップを送り、1〜2週間は表示回数と順位を見る。落ちたページがあれば転送の漏れを疑う
ドメインの名義とサーバーの管理情報は、作り直す前に手元にあるか確認してください。制作会社の名義のままだと、契約が終わったときにサイトごと失うことがあります。当社は、ドメインはお客様の名義で取得・管理し、契約が終わってもサイトとドメインはお客様のものとしています。
直す場合に、まず足すページ
作り直さず直すと決めた場合、デザインより先に足すページは3種類です。順番もこの通りです。
- 料金のページ。「お見積り」だけでなく、月額や目安を文字で書く。AIも検索エンジンも、料金のページを優先して読みに来る
- 事例を1件1ページ。一覧の1行ではなく、前・やったこと・後・費用を1ページに。当社では公開4日後にそのページ経由で相談が来た
- 困りごと別の答えのページ。「◯◯はできますか?」という質問文を見出しにし、答えと費用と実績を1ページに
この3種類があると、AI検索でも引用の材料になります。かかる期間の目安はAI検索対策はいつ効く?4か月で1件、6か月で受注に書いています。
よくある質問
Q. 古いデザインは、作り直す理由になりますか?
なりません。見た目は直せます。作り直す理由になるのは、ページを足せない、自社で更新できない、スマホで読めない、の3つです。
Q. 作り直すとき、ドメインを新しくしたほうがきれいに始められますか?
おすすめしません。ドメインを変えると、被リンクと評価を引き継げず、ゼロから積み直すことになります。転送(301)は一部しか引き継がず、旧ドメインの契約を切ると引き継ぎも終わります。ドメインを変えてよいのは、名義を取り戻せない、社名が変わった、迷惑行為の履歴がある、の3つの場合だけです。
Q. 制作会社の名義になっているドメインは、どうすればいいですか?
まず制作会社に移管を依頼してください。応じてもらえない場合は、契約書の条項を確認します。どうしても取り戻せない場合は、新ドメインで作り直し、旧サイトが生きている間に新サイトへの案内を置きます。
Q. 作り直しの途中で、検索順位は落ちますか?
旧URLと新URLを1対1で転送し、トップへの一括転送をしなければ、一時的な上下はあっても元に戻ります。落ちたまま戻らないのは、転送の漏れか、ページそのものを消した場合です。
Q. WordPressのままで直せますか?
更新できる人が社内にいて、テンプレートに価格や事例のページを足せるなら、直せます。更新が怖くて触れない、プラグインが古くて動かない、という状態なら作り直しの理由になります。移行の手順は脱WordPressのすすめにあります。
まとめ
- 作り直すか直すかは、見た目でなくページを足せるか・自社で更新できるか・スマホで読めるかの3つで決める
- 3つとも問題なければ直す。直す=デザインでなく、料金・事例・答えのページを足す
- どちらを選んでもドメインは変えない。被リンク625ドメインを持つサイトでも、中身がなければ流入は月1件。逆に、中身を作り直してもドメインを変えれば評価は失われる
- 転送(301)は一部しか引き継がず、旧ドメインの契約を切ると終わる
- 移転の段取りは、旧URLの一覧、1対1の対応表、トップへの一括転送をしない、転送を残し続ける
- ドメインとサーバーの名義は、作り直す前に自社のものか確認する
当社は、ホームページの制作と運用を月額制で行っています。作り直す場合もドメインはお客様の名義で継続し、旧URLからの転送まで含めて行います。AI検索で見つかる形で作るLLMOサイトは制作費・サーバー代・ドメイン代0円・月額5万円(税別)から、通常のホームページ制作はこちらです。いまのサイトを直すだけで足りるかどうかは、相談の段階でお伝えします。直すだけで足りる場合は、そう言います。