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システム保守はどこまで?保守契約の範囲と費用相場

公開: 2026/08/25 / By 佐藤 駿介

この記事について

毎月保守費を払っているのに、何をしてもらっているか分からない。システム保守の範囲は「動き続けるための作業」「どちらとも言える作業」「新しく作る作業」の3つに分けると整理できます。もめる原因になる真ん中の領域、費用の相場、契約前に確認すべき6項目を、業務システムを開発・運用している立場から解説します。

読了時間: 約9分
約4,695文字

結論(要点)

システム保守の範囲は3つに分けて考えると整理できる。①含まれる=動き続けるための作業(サーバー・SSLの更新、不具合の修正、セキュリティ対応、バックアップ、稼働監視)②要確認=どちらとも言える作業(文言・画像の差し替え、選択肢や項目の追加、帳票の様式変更、法改正対応、操作方法の問い合わせ)③含まれない=新しく作る作業(機能追加、画面の新規作成、他システム連携)。もめるのは必ず真ん中で、ここが曖昧なまま契約が始まると後から必ず揉める。費用の相場は開発費の年15〜20%が一般的な目安だが、月額制では1万円前後から。「払っているのに何もしてくれない」が起きるのは、保守の中身が見えないため。作業報告があるかどうかで納得感が変わる。契約前に確認すべきは、範囲の線引き、対応時間、連絡手段、作業報告の有無、料金改定の条件、解約時のデータ引き渡し。

システム保守はどこまで?保守契約の範囲と費用相場

こんにちは、合同会社SAi代表の佐藤です。

「保守契約はどうお考えですか」「どこまでが保守範囲なのか定まっていますか」

システム開発の商談で、必ず出てくる質問です。そして、この線引きが曖昧なまま始まった案件は、ほぼ確実に後からもめます。

「これくらい保守でやってもらえると思っていた」「それは追加費用です」——どちらも悪気はありません。最初に決めていなかっただけです。

この記事では、システム保守の範囲をどう整理すればよいか、費用の目安、契約前に確認すべきことを、開発と運用の両方をしている立場からまとめます。

結論:3つに分けて考える

保守の範囲を3つに分けた図

保守の範囲は、3つの層に分けると整理できます。

① 含まれる:動き続けるための作業

システムが止まらないように保つ作業です。ここは、どの会社の保守契約でもまず含まれます。

  • サーバー・SSL証明書の更新
  • 不具合(バグ)の修正
  • セキュリティ対応(脆弱性への対処)
  • バックアップの取得
  • 稼働の監視

「作ったものが、作ったとおりに動き続ける」ための作業、と考えると分かりやすいです。

② 要確認:どちらとも言える作業

ここが、もめる原因のすべてです。

  • 文言・画像の差し替え
  • 選択肢や項目の追加
  • 帳票の様式変更
  • 法改正への対応
  • 操作方法の問い合わせ対応

発注者からすれば「ちょっとした変更」ですが、開発側からすれば「新しい作業」です。どちらの言い分も間違っていません。だから先に決めておく必要があります。

③ 含まれない:新しく作る作業

  • 新しい機能の追加
  • 画面の新規作成
  • 他システムとの連携
  • 大幅なデザイン変更
  • 利用者数の大幅な増加に伴う増強

ここは通常、別途の見積もりになります。保守費に含めてしまうと、開発側が受けきれなくなるためです。

契約前に、真ん中の5つを決めておく

やることはシンプルで、②の項目が①と③のどちらに入るかを、先に合意しておくだけです。

決め方には主に3つのパターンがあります。

方式内容向いている場合
月額に含める軽微な変更は回数を気にせず対応変更が頻繁に発生する業務システム
時間で区切る月◯時間まで含む。超過分は別途変更の量が読める場合
都度見積もりすべて個別に見積もる変更がほとんど発生しない場合

「軽微な変更は月額内」とする場合、「軽微」の定義を具体例で決めておくのがコツです。

  • ○ 「文言の修正、画像の差し替え、選択肢の追加は月額内」
  • ✗ 「軽微な修正は月額内」(何が軽微かで揉める)

「払っているのに何もしてくれない」が起きる理由

保守で最も多い不満がこれです。原因は、やっている作業が見えないことにあります。

サーバーの更新も、セキュリティの監視も、何も起きていなければ何も見えません。「何も起きていない」こと自体が保守の成果なのですが、発注者からは判断できません。

解決策は単純で、作業報告があるかどうかです。

  • 今月何をしたか
  • 何も発生しなかったなら「発生なし」と伝える
  • 稼働状況の数字(アクセス数・エラー件数など)

月1回、数行の報告があるだけで、納得感はまったく変わります。保守を依頼するときは「報告はありますか」と聞いてみてください。

費用の相場

一般的な目安として、年間で開発費の15〜20%程度という考え方があります。500万円で作ったシステムなら、年75〜100万円という計算です。

ただしこれは、専任の担当者が付く規模のシステムを前提とした数字です。中小企業が使う業務システムでは、月額制で1万円前後からという価格帯も一般的になっています。

判断するときは、金額だけでなく次の3つを揃えて比べてください。

  1. 範囲(真ん中の5項目がどちらに入るか)
  2. 対応時間(平日日中のみか、緊急時はどうか)
  3. 報告の有無

同じ月3万円でも、「不具合対応のみ・報告なし」と「変更対応込み・月次報告あり」ではまったく別物です。

当社の場合、業務システムは月額1万円〜(税別)で、文言修正や画像差し替えなどの軽微な更新は回数を気にせず月額内で対応しています。機能追加や大幅な改修のみ別途お見積もりです。詳しくは開発内容別の料金一覧をご覧ください。

保守契約を結ばないという選択

保守契約は必須ではありません。次の条件がそろっていれば、契約せずに運用することも可能です。

  • ソースコードが手元にある
  • サーバー・ドメインを自社で管理している
  • 社内に技術が分かる人がいる、または都度依頼できる相手がいる

ただしセキュリティ対応だけは、放置すると危険です。使っている部品(フレームワークやライブラリ)に脆弱性が見つかったとき、更新しないままだと侵入されるリスクがあります。

保守契約を結ばない場合でも、脆弱性が出たときに誰が対応するのかは決めておいてください。

なお、システムの権利とソースコードが手元にあるかは、保守を他社に切り替えられるかにも直結します。この点はシステム開発の契約書|著作権の帰属で必ず決める4項目で詳しく解説しています。

契約前に確認する6項目

  • 範囲の線引き(文言修正・項目追加・様式変更はどちらに入るか)
  • 対応時間(平日日中のみか。障害時の連絡先と対応時間)
  • 連絡手段(メール・電話・チャット。窓口が担当者個人か会社か)
  • 作業報告の有無(何をしたかが見えるか)
  • 料金改定の条件(どういう場合に金額が変わるか)
  • 解約時のデータ引き渡し(データとソースコードを受け取れるか)

最後の項目は、契約時には意識しにくいものの実際に困るのは解約するときです。データを取り出せないまま解約すると、蓄積した情報がすべて失われます。

よくある質問

Q. システム保守にはどこまで含まれますか?

「動き続けるための作業」が基本です。サーバー・SSLの更新、不具合の修正、セキュリティ対応、バックアップ、稼働監視などが該当します。一方、新しい機能の追加や画面の新規作成は通常含まれず、別途の見積もりになります。もめやすいのは文言の差し替え・項目の追加・帳票の様式変更・法改正対応といった中間の作業なので、契約前にこれらがどちらに入るかを具体例で決めておいてください。

Q. システム保守の費用相場はいくらですか?

年間で開発費の15〜20%程度が一般的な目安とされています。ただしこれは専任担当が付く規模を前提とした数字で、中小企業が使う業務システムでは月額1万円前後からという価格帯も一般的です。金額を比べるときは、範囲・対応時間・報告の有無を揃えてください。同じ金額でも中身がまったく違います。

Q. 保守契約は必ず結ぶ必要がありますか?

必須ではありません。ソースコードが手元にあり、サーバーを自社で管理でき、技術が分かる人がいるか都度依頼できる相手がいれば、契約なしでも運用できます。ただしセキュリティ対応だけは放置すると危険です。使っている部品に脆弱性が見つかったときに誰が対応するのかは、契約の有無にかかわらず決めておいてください。

Q. 保守費を払っているのに、何もしてもらえていない気がします。

作業が見えていないことが原因の場合が多いです。サーバーの更新やセキュリティ監視は、問題が起きていなければ何も表に出ません。「何も起きていない」こと自体が成果なのですが、発注者からは判断できません。月1回でも作業報告があるかどうかを確認してください。数行の報告があるだけで納得感は大きく変わります。報告がない契約なら、追加を依頼して問題ありません。

Q. 法改正で項目を変える必要が出た場合、保守に含まれますか?

契約次第です。これは中間領域の典型で、会社によって扱いが分かれます。項目名の変更程度なら月額内、計算ロジックが変わるなら別途、という区切り方が多く見られます。法改正が頻繁に関わる業務のシステムでは、契約時に必ず確認してください。あわせて「自社側で項目や文言を変更できる仕組み」を最初から入れておく方法もあります。

Q. 保守を別の会社に切り替えられますか?

ソースコードと権利が手元にあれば切り替えられます。どちらも無い場合、他社は手を入れられないため、事実上その会社から離れられません。開発を依頼する段階で、著作権の帰属とソースコードの納品を契約書で決めておくことが、将来の選択肢を残すことになります。

まとめ

  • 保守の範囲は「動き続けるための作業」「どちらとも言える作業」「新しく作る作業」の3つに分ける
  • もめるのは必ず真ん中。文言修正・項目追加・様式変更・法改正対応をどちらに入れるか先に決める
  • 「軽微な修正は月額内」は具体例で定義する
  • 「払っているのに何もしてくれない」は、報告がないだけのことが多い
  • 金額を比べるときは範囲・対応時間・報告の有無を揃えて比べる
  • 解約時にデータとソースコードを受け取れるかを最初に確認しておく

当社では、業務システムの開発から運用まで一貫してお受けしています。営業担当を挟まず、制作した開発者が直接対応するため、軽微な更新は回数を気にせず月額内で対応しています。

現在お使いのシステムの保守についてのご相談も承っていますので、お問い合わせからお気軽にご連絡ください。

About the Author

佐藤 駿介

佐藤 駿介

Shunsuke Sato

代表 / Founder & Developer, 合同会社SAi

中小企業のAI・業務自動化を専門とする開発者。営業マンや下請けを介さず、ヒアリングから開発・運用まで一貫して直接対応。「月額1万円から始められる、本当に必要なAIだけ」をモットーに、フルスクラッチ開発を中小企業の手の届く価格で提供している。

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