AI受託開発を月額制で頼む|一括請負との違いと料金
こんにちは、合同会社SAi代表の佐藤です。当社は受託開発を月額制で請けています。この記事は、その立場から書いています。
「受託開発は数百万円を先に払うもの」と思っていた方から、「月額制でできるんですか」と聞かれることが増えました。できます。ただし月額制は、安い支払い方法ではありません。リスクを誰が持つかが違う契約です。ここを理解せずに月額制を選ぶと、あとで揉めます。
一括請負との違い、月額制が向く案件と向かない案件、契約前に確認すべき5項目を、順に書きます。
結論:違うのは支払い方ではなく「いつリスクを負うか」
一括請負では、着手する前に金額と仕様を確定させます。だから「仕様が正しいこと」を発注側が保証する形になります。作ってみて業務に合わなかった場合でも、仕様どおりに納品されていれば支払いは発生します。追加費用も出ます。
月額制では、稼働してから支払いが始まります。だから「作ってみたら違った」ときの損失は、開発側に寄ります。開発会社は、使われ続けなければ回収できません。
この違いが、そのまま向き不向きになります。
一括請負と月額制の比較
| 一括請負 | 月額制 | |
|---|---|---|
| 支払いの開始 | 着手金・中間金として、作る前から | 稼働してから |
| 金額の確定 | 契約時に確定 | 範囲に応じて月額が決まる |
| 仕様変更 | 原則すべて追加見積もり | 軽微なものは月額内が一般的 |
| 「違った」ときの損失 | 発注側が負担 | 開発側に寄る |
| 解約 | 納品後は関係終了 | いつでも止められる契約が多い |
| ソースコード | 譲渡されることが多い | 会社によって扱いが分かれる。要確認 |
| 向く案件 | 仕様と納期が固まっている | 要件が動く、まず試したい |
一括請負が悪いわけではありません。仕様が完全に固まっていて、納期が動かせない案件では、一括請負のほうが合理的です。金額が確定するので予算も組めます。
月額制が向く案件
要件が固まりきっていない案件。「たぶんこうすれば楽になるはず」の段階で始められます。作りながら決められるので、要件定義に何ヶ月もかけずに済みます。
まず1つの業務だけ試したい案件。請求書の発行だけ、注文書の読み取りだけ、といった単位で始めて、効果を見てから広げられます。
作った後も変わり続ける業務。取引先が増える、帳票が変わる、法改正がある。こうした業務は、納品して終わりにすると1年で使われなくなります。
社内にエンジニアがいない会社。動かなくなったときに直せる人が必要なので、運用まで込みの契約のほうが安全です。
月額制が向かない案件
納期が絶対に動かせない案件。展示会に間に合わせる、法改正の施行日に合わせる、といった案件は、責任範囲を金額で縛れる一括請負のほうが確実です。
買い切りにしたい案件。補助金の関係で資産計上したい、一度作ったら二度と触らない、という場合は月額制と合いません。
数千万円規模の開発。月額に均すと回収に何年もかかるため、そもそも月額制で請ける会社がほとんどありません。
社内に開発チームがある会社。自社で保守できるなら、月額を払い続ける理由がありません。作ってもらって引き取るほうが安く済みます。
月額制でよくあるトラブル3つ
実際に月額制で請けている立場から、揉めやすい順に書きます。
1. 解約したらシステムが止まった
一番多いトラブルです。月額制は「使用料」なのか「開発費の分割」なのかで、解約後の扱いがまったく変わります。
使用料なら、解約したら使えなくなるのが当然です。開発費の分割なら、払い終わったら手元に残るはずです。ここを曖昧にしたまま契約すると、解約時に「聞いていない」となります。
確認すべきこと:解約後にシステムが動き続けるのか。動かないなら、それは使用料型です。データは返してもらえるのか。ソースコードはどうなるのか。
2. 「軽微な修正」の線引きが曖昧
多くの月額制が「軽微な修正は月額内」と書いています。この「軽微」の定義が書いていないのが原因です。
文言の変更は軽微でしょう。では帳票に1項目足すのは。集計の条件を変えるのは。新しい取引先の様式に対応するのは。ここで認識がずれます。
確認すべきこと:具体例で聞く。「この作業は月額内か、別料金か」を3つくらい挙げて答えてもらうのが確実です。
3. 最低契約期間の縛り
月額制なのに12ヶ月の縛りがある契約は珍しくありません。実質的に一括請負を分割で払っているのと同じです。
それ自体は悪くありませんが、「いつでも解約できる」と説明されていたのに縛りがあったというのが問題になります。
確認すべきこと:最低契約期間の有無と、期間内に解約した場合の違約金。
費用の目安
依頼先の規模によって、そもそもの価格帯が違います。
| 依頼先 | 費用 | 開発期間 |
|---|---|---|
| 大手ITベンダー・SIer | 300万〜1,000万円以上 | 3〜12ヶ月 |
| 中規模開発会社 | 100万〜300万円 | 1〜6ヶ月 |
| 小規模開発会社・個人 | 月額1万〜10万円 | 3日〜4週間 |
月額制で請けているのは、主に一番下の層です。当社の場合は初期費用0円・月額1万円から、稼働するまで課金なしです。上限は決めていません。作る範囲別の目安はこうなります。
| 作るもの | 月額の目安 | 期間 |
|---|---|---|
| 業務の部分自動化(請求書発行など) | 1万〜3万円 | 3日〜2週間 |
| AIチャットボット | 1万〜4万円 | 1〜4週間 |
| 業務システム全体(CRM・在庫・予約など) | 2万〜6万円 | 2週間〜2ヶ月 |
| 大規模な基幹システム連携 | 個別見積もり | 3ヶ月〜 |
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なぜ月額1万円台が成立するのか
技術力を落としているからではありません。会社の構造コストの差です。
大手の300万円の見積もりの内訳は、おおよそこうなっています。
- オフィス賃料:約20%
- 営業・管理部門の人件費:約25%
- 下請けマージン:約20%
- 実際の開発:30〜40%
300万円払っても、コードを書く人の手元に届くのは約100万円です。大きなオフィスを持たず、営業担当を置かず、下請けに出さなければ、この60〜70%が要らなくなります。
当社は代表である開発者が、ヒアリングから開発・運用まで直接担当しています。だから月額1万円台から請けられます。かわりに、数千万円規模の案件や常駐は請けられません。
契約前に確認する5項目
月額制を選ぶなら、この5つだけは書面で確認してください。
- 課金はいつ始まるか。契約時か、納品時か、稼働してからか。当社は稼働してからです
- 「軽微な修正」の具体例。3つ挙げて、月額内か別料金かを答えてもらう
- 最低契約期間と違約金。「いつでも解約可」と口頭で言われても、書面を見る
- 解約後にシステムは動くか。止まるなら使用料型。データの返却方法も確認する
- ソースコードの扱い。譲渡か、貸与か、相談かを明確にする
5番目について、当社の場合を正直に書きます。当社は月額制のため、ソースコードが自動的に譲渡される契約にはしていません。ご要望があれば契約時に個別に取り決めます。データはお客様のものなので、いつでもお渡しできる形式で提供します。「月額制なのに買い切りと同じ権利がもらえる」と説明する会社があれば、その分は月額に乗っているはずなので、根拠を聞いたほうがいいです。
よくある質問
Q. 受託開発の月額制とは何ですか?
開発費を一括で支払うかわりに、稼働後に毎月定額を支払う契約形態です。支払い方だけでなく、リスクの持ち方が変わります。一括請負では仕様の正しさを発注側が保証しますが、月額制では「作ってみたら違った」ときの損失が開発側に寄ります。かわりに、解約後の扱いやソースコードの権利は会社ごとに条件が異なるため、契約前の確認が必要です。
Q. 月額制と一括請負、どちらが安いですか?
期間によります。月額3万円なら3年で108万円なので、一括請負で100万円の案件なら3年で逆転します。ただし一括請負は納品後の保守が別料金になることが多く、月額制は保守込みが一般的です。総額ではなく、いつまで使うか・誰が直すかで比べてください。
Q. 月額制はいつでも解約できますか?
会社によります。最低契約期間が6〜12ヶ月ある契約も珍しくありません。当社は最低契約期間を設けていません。効果が見合わなければ解約いただけます。
Q. 解約したらシステムは使えなくなりますか?
これも会社によります。月額が「使用料」なら止まり、「開発費の分割」なら残るのが原則です。契約書のどちらの性質かを確認してください。当社は解約時の扱いを契約時に明記し、データはお渡しできる形式で提供します。
Q. AI受託開発の費用相場はいくらですか?
依頼先の規模で変わります。大手ITベンダー・SIerは300万〜1,000万円以上、中規模開発会社は100万〜300万円、小規模開発会社・個人は月額1万〜10万円が目安です。この差は技術力ではなく、オフィス賃料・営業人件費・下請けマージンといった構造コストの差です。
Q. 開発期間はどのくらいですか?
業務の部分自動化なら3日〜2週間、AIチャットボットは1〜4週間、業務システム全体は2週間〜2ヶ月が目安です。月額制は稼働してから課金が始まるため、開発期間が長引くほど開発側の負担になります。だらだら伸びない構造になっているのは、月額制の利点のひとつです。
Q. 合同会社SAiの条件を教えてください
初期費用0円、月額1万円から(税別)。上限は設けておらず、下表の目安を超える規模は個別に見積もります。着手金・中間金はなく、課金は稼働してからです。最低契約期間はありません。軽微な修正・更新は回数を気にせず月額内で対応します。数千万円規模の開発と常駐は請けていません。取引条件の全項目は料金ページに公開しています。
まとめ
- 月額制と一括請負の違いは支払い方ではなく、「作ってみたら違った」ときの損失を誰が負うか
- 月額制が向くのは、要件が動く案件、まず試したい案件、作った後も変わり続ける業務
- 向かないのは、納期が動かせない案件、買い切りにしたい案件、社内に開発チームがある会社
- 揉めるのは決まって解約後の扱い・「軽微な修正」の線引き・最低契約期間の3つ。契約前に書面で潰す
当社は初期費用0円・月額1万円〜、稼働するまで課金なしで請けています。合わない案件は事前にお断りします。
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