Cloudflare Workersとは?AWSとの違いを初心者向けに解説
こんにちは、合同会社SAi代表の佐藤です。
業務システム、ホームページ、アプリ。何を作るときでも必ず出てくるのが「サーバーはどこにするか」という話です。
とりあえずAWS、という選択は間違いではありません。ただ、小さく始めて様子を見たい場合、ほかの選択肢を知らずに決めてしまうと、後から費用の面で苦しくなることがあります。
この記事は、専門用語をひとつずつ説明しながら進めます。技術に詳しくない方が読んでも分かるように書きました。
その前に:サーバーとは何か
サーバーとは、24時間動き続けているコンピューターのことです。
ホームページやアプリを使うとき、手元のスマホやパソコンの中に全部が入っているわけではありません。どこかに置いてあるコンピューターに問い合わせて、答えをもらっている——これがインターネットの基本的な仕組みです。
その「どこかに置いてあるコンピューター」がサーバーです。
そして、そのサーバーをどこの会社から借りるかという話が、これから説明するAWSとCloudflareの比較です。
先に、出てくる言葉だけ
この記事で使う言葉を先にまとめます。ここだけ押さえれば、あとは読めます。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| AWS | Amazonが提供しているサーバーの貸し出しサービス。世界で最も使われています |
| Cloudflare | 同じくサーバーを貸すサービス。仕組みの考え方がAWSと違います |
| Workers | Cloudflareの機能のひとつ。プログラムを動かす場所 |
| R2 | Cloudflareの機能のひとつ。画像やファイルを保管する場所 |
| リクエスト | 「このページを見せて」という1回の問い合わせのこと |
| データ転送 | サーバーから利用者へデータが送られること。画像を1枚表示するたびに発生します |
結論を先に
- AWSは「部品を選んで組み立てる」方式。できないことがほぼない代わりに、決めることが多い
- Cloudflareは「置いたら世界中で動く」方式。選べる範囲は狭い代わりに、決めることも少ない
- Cloudflareはデータ転送料が0円です。ここがAWSとの一番大きな金額差になります
- 費用を左右するのはアクセス数ではなく「処理の重さ」です
- どちらか一方に決め切る必要はありません。後から動かしにくいのはデータベースだけです
Cloudflare Workersとは
Cloudflare Workersとは、書いたプログラムを世界中のCloudflareの拠点に配置して動かす仕組みです。
普通のサーバーは、どこか1か所に置きます。たとえば東京のデータセンターです。日本からのアクセスは速いのですが、海外からは物理的に遠くなるぶん、返事が返ってくるまでに時間がかかります。
Workersは置き場所を指定しません。プログラムをアップロードすると自動的に各地へ配られ、アクセスしてきた人に一番近い拠点で動きます。
そしてサーバーの台数を考える必要がありません。アクセスが増えれば自動的に処理され、誰も使っていない時間には費用が発生しません。
AWSとの違い

AWSは自由度が高い代わりに、決めることが多い
AWSでは、サーバー、データベース、ファイルの保管場所、通信経路をそれぞれ選んで組み合わせます。設置する地域(リージョンと呼びます)も自分で決めます。
できないことがほぼありません。その代わり、選択肢が非常に多く、設定と運用の知識が必要になります。
家を建てるのにたとえると、土地を選んで、間取りを決めて、建材を選んで建てるイメージです。理想どおりのものができますが、決めることが山ほどあります。
Cloudflareは選択肢が少ない代わりに、決めることも少ない
Cloudflareは、置き場所を選びません。サーバーの台数も考えません。
できることの範囲はAWSより狭いのですが、立ち上げ期に必要な機能はだいたい揃っています。
こちらはできあがっている建物に入居するイメージです。間取りは変えられませんが、すぐ住めます。
項目ごとに並べると、こうなります。
| AWS | Cloudflare | |
|---|---|---|
| 置き場所 | 地域を自分で決める | 指定しない。各地へ自動で配られる |
| サーバーの台数 | 自分で設計する | 考えなくてよい |
| 使っていない時間の費用 | かかる構成になりやすい | かからない |
| データ転送料 | 通信量に応じてかかる | 0円 |
| できることの幅 | ほぼ制限なし | AWSより狭い |
| 必要な知識 | 設定と運用の知識が要る | 少なくて済む |
| 向いている場面 | 要件が複雑・既存システムがAWSにある | 小さく始めたい・世界中から使われる |
「AWSは高い」と言われる理由

よく言われますが、正確には使っていない時間にも費用が発生する構成になりやすいということです。
AWSでよく使われる形は、サーバーを1台借りて動かしっぱなしにするやり方です。この場合、深夜に誰もアクセスしていなくても料金は発生します。お店の家賃と同じで、お客さんが来なくても払います。
Cloudflareは実際にプログラムが動いた分だけの課金です。誰も使っていない時間は0円です。
もうひとつがデータ転送料です。
AWSは、サーバーから外へデータを送るときに通信量に応じた料金がかかります。利用者が画像を1枚見るたびに、少しずつ料金が発生していると考えてください。1枚あたりは小さくても、利用者が増えると積み上がります。
Cloudflareは、この転送料が0円です。
料金は何にいくらかかるのか
以下は2026年8月に公式ドキュメントを再確認した時点の金額です。ドル建てなので、円に直すと為替で変わります。
プログラムを動かす(Workers)
| 項目 | 無料プラン | 有料プラン(月5ドル〜) |
|---|---|---|
| リクエスト数 | 1日 10万件まで | 月 1,000万件を含む |
| CPU時間 | 1回あたり 10ミリ秒まで | 月 3,000万ミリ秒を含む |
| 超過分(リクエスト) | — | 100万件ごと 0.30ドル |
| 超過分(CPU時間) | — | 100万ミリ秒ごと 0.02ドル |
月5ドルは、1ドル150円で計算すると月750円ほどです(為替で変わります)。
無料プランでも1日10万リクエストまで使えます。1日10万件は、社内向けのツールや立ち上げ直後の検証なら十分な数字です。
画像やファイルを置く(R2)
| 項目 | 無料枠 | 超過分 |
|---|---|---|
| 保存容量 | 月 10GBまで | 1GBあたり 0.015ドル / 月 |
| データ転送(外への通信) | 無制限 | 0円 |
| 書き込み・一覧の取得 | 月 100万回 | 100万回ごと 4.50ドル |
| 読み取り | 月 1,000万回 | 100万回ごと 0.36ドル |
表の「書き込み」はファイルを保存する操作、「読み取り」はファイルを取り出す操作のことです。
データ転送が0円という点が、AWSのファイル保管サービス(S3といいます)との一番大きな違いです。
画像や資料をたくさん配信するサービスでは、保存する量より、送り出す量のほうが費用に効いてくることがよくあります。ここが0円になるのは、金額として大きい。
費用を左右するのは「処理の重さ」です
ここが一番の落とし穴なので、丁寧に説明します。
表にCPU時間という項目があります。これはプログラムが実際に計算していた時間のことです。
たとえるなら、料理をしていた時間です。オーブンに入れて待っている時間は含まれません。手を動かしていた時間だけを数えます。
そのため、こうなります。
- データを出し入れするだけの処理(一覧を表示する、登録するなど)は、回数が多くてもCPU時間をあまり使いません
- 画像を加工する、PDFを作る、大量のデータを集計するといった処理は、回数が少なくてもCPU時間を大きく使います
つまり「アクセスが何件あるか」より「重い処理が入っているか」で金額が決まります。
ここを確認せずに「安いらしい」で決めると、想定と違う請求になることがあります。逆に言えば、重い処理がなければ、かなり安く収まります。
どちらを選ぶか

上から順に3つ答えるだけです。
1. 既存システムがすでにAWSにありますか
あるなら、AWSで揃えたほうが楽です。データのやり取りが同じ会社の中で完結するぶん、転送料もかかりません。
取引先からAWS指定がある場合も同じです。
2. 1回の処理が重い機能がありますか
動画の変換、大量データの集計、時間のかかる処理。これらが中心なら、AWSのほうが向いています。
前に説明したCPU時間の課金が効いてくるためです。
3. 画像やファイルを多く配信しますか
するなら、Cloudflareが有利です。データ転送料が0円になるぶんが、そのまま差になります。
利用者が各地に散らばっている場合も同じで、拠点が世界中にあるCloudflareのほうが速く応答できます。
全部「いいえ」なら
まずCloudflareで小さく出すのがおすすめです。使っていない時間の費用が出ないので、様子を見ながら進められます。
伸びてきてから考えても遅くありません。
実際には、組み合わせることが多い
現実的な構成としては、両方を使う形がよくあります。
- 画面の配信と、画像やファイルの置き場はCloudflare(転送料が0円なので効きます)
- 重い処理とデータベースはAWS
こうすると、利用者が増えて通信量が跳ねても、費用が急に膨らみにくくなります。
最初に全部決めなくて構いません
後から動かしにくいのはデータベースだけです。
プログラムの置き場所も、ファイルの保管場所も、後から移せます。手間はかかりますが、サービスを止めずに切り替えることもできます。
一方でデータベースは、入っているデータごと引っ越すことになるので、たまっているデータが多いほど大変になります。引っ越しの荷物と同じで、住み始めてからのほうが荷物は増えています。
なので、最初に慎重に決めるべきなのはデータベースだけです。それ以外は「今いちばん安く早く出せる形」で始めて構いません。
データの引っ越しでよくある失敗は名寄せとは?システム移行で顧客が消える原因と対策にまとめています。
使われ始めてからの見通し
公開直後と、利用者が増えてからでは、効いてくる費用が変わります。
| 段階 | 効いてくるもの | 対策 |
|---|---|---|
| 立ち上げ期 | 固定費(使っていなくてもかかる分) | 使った分だけの課金にする |
| 利用者が増える時期 | データ転送量 | 配信部分を転送料0円の構成にする |
| 機能が増える時期 | 処理の重さ | 重い処理だけ切り出して別で動かす |
| 事業が安定した後 | データベースの規模 | 最初の選択がここで効いてきます |
最初から全部を最適化する必要はありません。ただ、どの段階で何が効いてくるかを知っておくと、機能を追加するときの判断が速くなります。
よくある質問
Q. Cloudflare Workersとは何ですか?
書いたプログラムを、世界中のCloudflareの拠点に自動で配置して動かす仕組みです。普通のサーバーはどこか1か所に置きますが、Workersは置き場所を指定せず、アクセスしてきた人に一番近い拠点で動きます。サーバーの台数を考える必要がなく、誰も使っていない時間には費用が発生しません。無料プランでも1日10万リクエストまで使えます。
Q. そもそもサーバーとは何ですか?
24時間動き続けているコンピューターのことです。ホームページやアプリを使うとき、内容が手元のスマホに全部入っているわけではなく、どこかに置いてあるコンピューターに問い合わせて答えをもらっています。その問い合わせ先がサーバーです。AWSやCloudflareは、そのサーバーを貸してくれる会社だと考えてください。
Q. CloudflareとAWSはどちらが安いですか?
立ち上げ期と、画像やファイルを多く配信するサービスでは、Cloudflareのほうが安くなりやすいです。理由は2つあります。1つは、使っていない時間の費用が発生しないこと。もう1つは、データを外に送る転送料が0円であることです。逆に、動画の変換や大量集計のように1回の処理が重い機能が中心なら、AWSのほうが安くなることもあります。
Q. Cloudflare Workersの料金はいくらですか?
有料プランは月5ドルからで、月1,000万リクエストと3,000万CPUミリ秒が含まれます。1ドル150円で計算すると月750円ほどです(為替で変わります)。超過分はリクエストが100万件ごと0.30ドル、CPU時間が100万ミリ秒ごと0.02ドルです(2026年8月に公式ドキュメントで確認)。無料プランは1日10万リクエストまで使えます。
Q. CPU時間とは何ですか?
プログラムが実際に計算していた時間のことです。料理でいえば、手を動かしていた時間にあたります。オーブンで待っている時間は含まれません。データを表示したり登録したりするだけの処理はCPU時間をあまり使いませんが、画像の加工やPDFの作成は、回数が少なくても大きく使います。Cloudflareの請求額は、アクセス数よりこちらで決まります。
Q. R2とS3の違いは何ですか?
どちらも画像やファイルを置く場所で、一番大きな違いはデータ転送料です。R2(Cloudflare)は外へのデータ転送が0円ですが、S3(AWS)は通信量に応じて課金されます。画像を多く配信するサービスでは、この差が費用の大部分を占めることがあります。ただし、データがAWSの中で完結して外に出ない使い方なら、S3でも転送料はかからないので差は小さくなります。
Q. あとからAWSに移すことはできますか?
プログラムとファイルの置き場所は、あとから移せます。手間はかかりますが、サービスを止めずに切り替えることも可能です。移しにくいのはデータベースだけで、こちらは入っているデータごと引っ越すことになるため、たまっているデータが多いほど大変になります。最初に慎重に決めるべきなのはデータベースで、それ以外は後から変えられます。
Q. 無料プランだけで運用できますか?
社内向けのツールや、立ち上げ直後の検証なら足りることが多いです。Workersの無料プランは1日10万リクエストまで使えます。ただし1回あたりのCPU時間が10ミリ秒までという制限があるため、重い処理を含む場合は有料プラン(月5ドル〜)が必要になります。ファイル保管のR2も月10GBまでは無料で、転送料は無料プランでも0円です。
まとめ
- サーバーとは、24時間動いているコンピューター。それを貸す会社がAWSとCloudflare
- AWSは部品を選んで組み立てる方式。できることは広いが、決めることが多い
- Cloudflareは置いたら世界中で動く方式。選べる範囲は狭いが、決めることも少ない
- Cloudflareはデータ転送料が0円。画像や資料を多く配信するほど、この差が金額に出る
- 費用を決めるのはアクセス数ではなく処理の重さ。画像加工やPDF作成が入ると変わる
- 両方を組み合わせる構成も多い。配信はCloudflare、重い処理とデータベースはAWS
- 後から動かしにくいのはデータベースだけ。それ以外は最初に決め込まなくてよい
「うちのサービスならどちらが合うか」を整理する段階でも構いません。お問い合わせからご相談ください。作る本人が直接お話を聞きます。
参考
本記事の金額は2026年8月にCloudflare公式ドキュメントで確認したものです。料金は変更される場合があるため、検討時は公式ページで最新の情報をご確認ください。