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営業せずに仕事が来る状態の作り方|107社に送って0件、サイトから62件

公開: 2026/10/01 / By 佐藤 駿介
読了時間: 約16分
約8,055文字

結論(要点)

開発会社・エンジニア・デザイナーが自分で仕事を取るとき、こちらから送る営業は効きにくい。合同会社SAiの実測では、フォーム営業で107社に送って人からの返信は0件だった一方、自社サイトからの問い合わせは62件(2026年3月4件→9月19件)届いている。受注につながった案件はすべて向こうから来たもので、引き合い8件のうち5件はChatGPT経由だった。差を作ったのは営業文のうまさではなく、探している人が探しているときに見つかる場所にいたかどうか。具体的には、発注を考えている段階の言葉に答えるページ、触れる画面、金額を先に出すこと、そして相手が使うAIに読める形で置くこと。AI検索では「AI導入 費用」でGoogleのAI Overviewに引用されている。逆に、こちらから送る営業は認知を作る目的なら意味があるが、返信を期待する使い方には向かない。

こんにちは、合同会社SAiの佐藤です。中小企業向けにシステムを作っています。社員は少なく、営業も自分でやってきました。

作れる人が、仕事を取るところで詰まる。これは本当によくある話だと思います。下請けで単価が上がらない、エージェント経由だと中間を抜かれる、直接受注したいが何をすればいいか分からない。

この記事では、当社が実際にやったことと、その結果の数字をそのまま出します。うまくいった話だけでなく、まったくダメだった話も書きます。

結論:こちらから送る営業は、返信が来ませんでした

先に数字を出します。すべて当社の実測です。

やったこと結果
問い合わせフォームからの営業(こちらから送る)107社に送信 → 人からの返信 0件
自社サイトからの問い合わせ(向こうから来る)62件(2026年3月〜9月)

107社です。文面も毎回変えました。業種も変えました。送信先も精査しました。それでも、自動返信以外の返信は0件でした。

一方で、自社サイトからの問い合わせはこうなっています。

月件数
2026年3月4件
4月7件
5月6件
6月5件
7月12件
8月9件
9月19件
同じ期間に、両方やった結果 こちらから送る 問い合わせフォーム営業 107社 → 0件 人からの返信なし 向こうから来る 自社サイトからの問い合わせ 62件 3月4件 → 9月19件 月別の推移(自社サイト) 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 19
同じ時期に両方やりました。片方だけが伸びました。

そして、受注につながった案件はすべて後者です。こちらから送って取れた案件は、1件もありません。

これは「営業するな」という話ではありません。こちらから送る営業は、返信をもらう道具としては機能しなかったという、1社ぶんの実測です。

なぜ107社に送って0件だったのか

やり方が雑だったわけではありません。むしろ、かなり作り込みました。

  • 送信先は業種・規模・サイトの状態を見て選んだ
  • 文面は毎回変えた(テンプレの使い回しをしない)
  • 相手のサイトを見て、具体的に書いた
  • 配信停止の導線も用意した

それでも0件でした。理由は、送り方の問題ではなくタイミングだと考えています。

受け取った側からすると、いま困っていないのです。困っていない人に、どれだけ丁寧な文章を送っても、返信する理由がありません。逆に、困っている人は自分で探します。探しているときに見つかる場所にいるかどうかが、すべてでした。

向こうから来た人は、どこから来たか

当社の引き合いを見ると、入口がはっきりしています。

  • 8件の引き合いのうち5件がChatGPT経由でした
  • Googleからの検索流入もありますが、AI経由のほうが問い合わせになる率が高いという傾向が出ています
  • 受注した案件のいくつかは、公開して数日の事例ページから来ています

実際にあった例を挙げます。LINEのSaaSを作りたいという大型の引き合いは、ChatGPTで調べた人が、公開4日後の導入事例ページにたどり着いて届きました。検索結果にはほとんど出ていないページです。順位ではなく、AIがそのページを読んで、答えに使ったということです。

差を作ったのは、営業文ではありませんでした

では何が効いたのか。振り返ると、4つです。

1. 発注を考えている段階の言葉で書く

「AIとは」「DXとは」といった説明の記事は、書いても仕事につながりませんでした。大企業や官公庁のページが上にいて勝てないうえ、読む人がまだ発注の段階にいません。

効いたのは「いくらかかるのか」「どう選べばいいのか」「これはできるのか」という、発注の手前にいる人の言葉でした。

2. 触れる画面を置く

説明文より、動くものを置いたほうが問い合わせになりました。当社では業務自動化のデモを公開していて、記事の中からそこへ行けるようにしています。

実測では、記事内のデモを開いた人のうち28%が、実際に操作しています。読んで終わりではなく、触った人は検討に入っています。

3. 金額を先に出す

問い合わせないと金額が分からない状態は、相手にとって面倒です。当社は初期費用0円・月額1万円〜と先に書いています。

金額を出すと値切られると思われがちですが、実際は逆でした。予算が合わない人は来なくなり、合う人だけが来ます。対応する時間が減って、話が早くなります。

4. AIが読める形にしておく

ここが、ここ1年でいちばん変わったところです。

人が検索する前に、AIに聞くようになりました。そのときAIは、ネット上のページを読んで答えを作ります。読まれる形になっていないページは、存在しないのと同じです。

当社の場合、「AI導入 費用」という質問に対して、GoogleのAI Overview(検索結果の上に出るAIの回答)に引用されています。同じ欄に並んでいるのは、NTT・IBM・AWS・Salesforce・富士通といった会社です。自然検索の順位は28位で、1ページ目にも入っていません。順位では負けているのに、AIの回答には載っているという状態です。

何をしたかというと、特別なことではありません。

  • 質問の形の見出しを作り、その直後に答えを書く
  • 数字と条件を具体的に書く(「安い」ではなく「月額1万円から」)
  • できないこと・向かないケースも書く
  • 出典のある情報は出典を書く

最後の2つが効いていると感じています。断定より、条件つきの答えのほうが引用されます。

うまくいかなかったことも書いておきます

参考になるのは失敗のほうだと思うので、正直に書きます。

用語解説の記事は、書くだけ無駄でした。「AIエージェントとは」は月1万6千件も検索されますが、上位10枠のうち9枠がNTT・IBM・AWS・Salesforce・富士通・ガートナー・IPAです。小さな会社が入る隙間はありません。当社の記事は、3か月で6回しか表示されませんでした。

「おすすめツール比較」も、思ったほどではありません。比較記事を書くと、そのツールの公式サイトが上に来ます。読む人もツールを探しているので、こちらには来ません。

記事を更新すれば上がる、わけではありません。当社の記事で、更新した直後に表示が4分の1に落ちたものがあります(764→227)。別の内容で更新し直したら戻りました。更新は改善とは限らないという、痛い実例です。

下請けから抜けたい場合も、同じでした

ここまでエンジニア個人の話のように書きましたが、下請けをしている開発会社やデザイナーの方でも、構造は同じだと思います。

元請けから仕事をもらっている状態だと、営業をしなくていい代わりに、単価が決まってしまいます。そこから抜けるには直接受注が要るわけですが、「営業を始める」と考えると、たいてい続きません。

やることは、営業を始めることではなく、探している人から見つかる状態を作ることです。これは作業であって、性格やコミュニケーション能力の話ではありません。

当社が多重下請けを使わない理由と、発注する側から見た構造については多重下請け構造とは|発注側が損する4つの理由に書きました。

何から始めるか

順番があります。当社がやった順です。

  1. いまの数字を測る——問い合わせが月何件か、どこから来ているか。測っていないと、何をやっても効果が分かりません
  2. 発注を考えている人の言葉で、1本書く——「費用」「選び方」「できるか」。用語解説ではなく
  3. 触れるものを1つ置く——デモでもサンプルでも。説明文より強い
  4. 金額を書く——範囲でいいので
  5. AIに読める形にする——質問の形の見出し、具体的な数字、できないことも書く

当社はここまでに7か月かかりました。3月に4件だったものが、9月に19件になっています。すぐには増えません。ただ、増え始めると止まりにくい性質があります。

よくある質問

Q. 営業しないで仕事が取れるようになりますか?

当社の場合、こちらから送る営業では取れず、向こうから来たもので取れました。107社に送って返信0件、自社サイトからは62件という実測です。ただしこれは1社ぶんの結果で、業種や単価帯によって変わります。「営業しなくていい」ではなく、「探している人から見つかる状態を作るほうが、当社では効いた」という話として読んでください。

Q. どのくらいで効果が出ますか?

当社は月4件から19件になるまでに7か月かかりました。最初の2〜3か月は、ほとんど変化がありません。先に数字を測っておかないと、効いているのか判断できないまま止めることになります。

Q. エンジニアやデザイナー個人でもできますか?

できると思いますが、時間はかかります。記事を書く、動くものを置く、数字を測る——どれも作業です。本業の合間にやるなら、月1〜2本のペースが現実的です。当社も最初はその程度でした。

Q. こちらから送る営業は、まったく意味がないですか?

返信を期待する使い方には向きませんでした。ただし、名前を知ってもらう目的なら意味があります。当社では送ったあとに指名検索(会社名での検索)が増えています。返信ではなく認知を目的にするなら、やる価値はあります。

Q. AIに読まれるために、特別な技術が要りますか?

要りません。質問の形の見出しを作り、その直後に答えを書く。数字を具体的に書く。できないことも書く。この3つだけです。構造化データ(FAQの形式でページに埋め込む記述)を入れると読まれやすくなりますが、先に中身です。

Q. 下請けを完全にやめる必要がありますか?

ありません。直接受注が増えてから、比率を変えていくほうが安全です。当社も、いきなり切り替えたわけではありません。

まとめ

  • 当社の実測ではこちらから送る営業107社で返信0件、自社サイトからは62件。受注につながったのはすべて後者でした
  • 差を作ったのは営業文のうまさではなく、探している人が探しているときに見つかる場所にいたかです
  • 効いたのは発注を考えている段階の言葉・触れる画面・金額を先に出すこと・AIに読める形の4つ
  • 用語解説の記事は書くだけ無駄でした。大企業が上を占めていて入れません
  • 引き合い8件のうち5件がChatGPT経由。順位では負けているページが、AIの回答に引用されることがあります
  • 月4件が19件になるまで7か月。すぐには増えません

同じことをやりたい方向けに、手順をまとめた講座を検討しています。内容はまだ固まっていませんが、「こういうことで困っている」という話を聞かせていただける方を探しています。売り込みはしません。お問い合わせから、ひとことお寄せいただければ幸いです。

自社のサイトがAIからどう見えているかは、AI検索可視性チェッカーで測れます(登録不要)。

この記事を書いた人

佐藤 駿介

佐藤 駿介

Shunsuke Sato

代表 / Founder & Developer, 合同会社SAi

中小企業のAI・業務自動化を専門とする開発者。営業マンや下請けを介さず、ヒアリングから開発・運用まで一貫して直接対応。「月額1万円から始められる、本当に必要なAIだけ」をモットーに、フルスクラッチ開発を中小企業の手の届く価格で提供している。

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