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PWAとは?アプリを作る前に知りたい選択肢【中小企業向け】

公開: 2026/08/25 / By 佐藤 駿介

この記事について

社内システムをスマホでも使いたい。そう考えたとき、App StoreやGoogle Playで配布する専用アプリを作る必要は必ずしもありません。PWAなら開発はWeb1本で済み、審査も更新作業も不要です。専用アプリとの違い、費用の差、できること・できないこと、どちらを選ぶべきかの判断基準を、業務システムを開発している立場から正直に解説します。

読了時間: 約9分
約4,716文字

結論(要点)

専用アプリはiOS・Android・Webの3つを作ることになり、Apple Developer Program 年間99ドル、Google Play 初回25ドルの固定費と、公開・更新のたびに数時間〜7日の審査待ちが発生する。PWAはブラウザで開くWebをホーム画面のアイコンから起動できる仕組みで、開発はWeb1本、ストアの審査も利用者のインストール作業も不要。実務でいちばん差が出るのは更新の速さで、専用アプリは審査に加えて利用者がアプリを更新するまで反映されないのに対し、PWAは修正がその場で全員に反映される。カメラ・位置情報・プッシュ通知(iPhoneはiOS 16.4以降かつホーム画面追加が前提)まで対応する一方、ストアからの検索流入、Bluetooth機器の制御、負荷の高い処理は苦手。社内システムや会員向けサービスならPWAで足りるケースがほとんど。

PWAとは?アプリを作る前に知りたい選択肢【中小企業向け】

こんにちは、合同会社SAi代表の佐藤です。

社内システムや顧客向けのサービスを、スマートフォンでも使えるようにしたい。そう考えたとき、多くの企業がまず思い浮かべるのが「アプリを作る」という選択肢です。

しかし実際には、App Store や Google Play で配布する専用アプリを作らなくても、アプリと同じ使い勝手を実現する方法があります。それが PWA(プログレッシブウェブアプリ)です。

この記事では、自社アプリの開発を検討されている中小企業の方に向けて、専用アプリとPWAの違い、費用の差、どちらを選ぶべきかの判断基準を解説します。

専用アプリは「3つ作る」ことになる

まず費用の話から。専用アプリを作る場合、同じ機能でも作るものが分かれます。

専用アプリは3つ、PWAは1つ

iPhoneとAndroidはまったく別の仕組みで動いているため、それぞれ別に開発が必要です。さらに社内システムであればパソコンからも使うので、Web版も用意することになります。

同じ機能でも、作るものが3つに分かれます。開発量がそのまま3倍になるわけではありませんが、設計・実装・テスト・不具合対応が3系統に分かれることは避けられません。

加えて、次の費用と手間がかかります。

項目内容
Apple Developer Program年間99ドル(およそ15,000円)
Google Play の登録料初回25ドル
審査公開・更新のたびに発生。Appleは「90%以上が24時間以内」と公表していますが、2026年は申請数の急増により実際は24〜72時間、新規アプリでは5〜7日かかる例も報告されています

開発費そのものだけでなく、公開し続けるための固定費と待ち時間が発生するという点が見落とされがちです。Apple Developer Programの99ドルは、アプリを配信し続けるかぎり毎年かかります(Google Playの25ドルは初回のみ)。

そして審査は公開時だけでなく、更新のたびに毎回発生します。文言をひとつ直すだけでも、その都度この待ち時間が入ります。

PWAとは、ホーム画面から開けるWebのこと

PWAは、ブラウザで開けるWebサイトでありながら、スマートフォンのホーム画面にアイコンを置いて、アプリと同じように起動できる仕組みです。

PWAの使い方

利用者から見ると、やっていることはアプリとほとんど変わりません。ホーム画面にアイコンが並び、タップすると全画面で開きます。アドレスバーも表示されないため、Webサイトを見ている感覚はありません。

違うのは、ストアからのインストールも、審査も必要ないという点です。URLを開いて「ホーム画面に追加」を選ぶだけで完了します。

社内システムであれば、この違いは大きな意味を持ちます。新入社員に配布するのはURL1本で済みます。ストアで社名を検索してもらう必要も、社内用アプリを一般公開する必要もありません。

実務でいちばん効くのは「更新の速さ」

費用以上に差が出るのが、公開したあとの運用です。

更新の流れの比較

専用アプリは、修正するたびにストアの審査を通し、さらに利用者にアプリを更新してもらって、ようやく反映されます。更新していない社員のスマートフォンには、いつまでも古い画面が表示されたままになります。

PWAであれば、こちらで直した内容がその場で全員に反映されます。

申請書を1種類追加する。法改正で項目を1つ変える。担当者の名前を差し替える。そうした細かい更新が続く業務システムでは、この差が積み重なって大きくなります。

「直したのに、まだ古い画面で運用している人がいる」という状態が起きないことは、社内システムでは想像以上に効きます。

PWAでできること・できないこと

正直にお伝えすると、PWAで何でもできるわけではありません。

できること

  • ホーム画面のアイコンからアプリのように起動する
  • カメラでの撮影、写真やファイルの添付
  • 位置情報の取得(勤怠の打刻など)
  • プッシュ通知(iPhoneはiOS 16.4以降。ホーム画面に追加した状態でのみ動作します)
  • 通信が不安定な場所での表示

苦手なこと

  • App Store や Google Play に並べて、検索から見つけてもらうこと
  • Bluetooth機器の制御など、端末の機能を深く使う処理
  • 3Dゲームや動画編集のように負荷の高い処理
  • iPhoneでの通知は、「ホーム画面に追加」した状態でのみ届く(ブラウザのタブで開いているだけでは受け取れない)

最後の点は特に注意が必要です。iPhoneの通知は、Safariの共有メニューから「ホーム画面に追加」を済ませた状態でのみ届きます。ブラウザのタブで開いているだけでは受け取れません。また通知の許可を求める画面は、利用者が画面を操作したタイミングでしか表示できない仕様です。社内で配布するときは、この手順の案内をセットにしてください。

どちらを選ぶかの判断基準

判断はほぼ1つの問いで決まります。

PWAと専用アプリの判断フロー

「ストアから見つけてもらう必要があるか」——ここが分かれ目です。使う人が最初から決まっているなら、ストアに並べる意味はありません。

PWAが向いているケース

  • 社内システムや業務ツールなど、使う人が決まっているもの
  • 会員向けサービスなど、URLをご案内できるもの
  • 機能を少しずつ追加していく予定があるもの
  • 初期費用を抑えたいもの

専用アプリが向いているケース

  • 一般消費者向けで、ストアからの流入を狙いたいもの
  • 端末の機能を深く使うもの
  • ゲームなど負荷の高い処理を伴うもの

社内向けの業務システムであれば、PWAで足りるケースがほとんどです。

「スマートフォンで使いたい」という要望に対して、反射的に専用アプリを作ると、費用も運用負担も必要以上に大きくなってしまいます。

費用はどれくらい違うのか

専用アプリの開発費は、機能と規模によって大きく変わるため一律には言えません。ただ構造として、iOS・Android・Webの3系統を作る前提になることは変わりません。そこにストアの年会費と審査待ちが乗ります。

当社の場合、業務システム・社内システムは初期費用0円・月額1万円〜(税別)でお受けしています。PWA対応も、この月額の中に含めています。

機能を盛り込んだ場合でも月3〜5万円が上限の目安で、大規模な基幹システム連携のみ個別のお見積もりです。詳しい内訳は開発内容別の料金一覧に公開しています。

ネイティブアプリが必要な場合のご相談も承っています(iPhoneアプリ開発の依頼)。

よくある質問

Q. PWAと専用アプリはどちらが安いですか?

初期費用も運用費用もPWAのほうが抑えられます。専用アプリはiOS・Android・Webの3系統を作ることになり、加えてApple Developer Program 年間99ドル、Google Play 初回25ドルの費用がかかります。PWAはWeb1本で済み、ストアの登録料も不要です。ただし一般消費者向けでストアからの検索流入を狙う場合は、専用アプリのほうが適しています。

Q. PWAでプッシュ通知は送れますか?

送れます。AndroidもiPhoneも対応しており、iPhoneはiOS 16.4以降で利用できます。ただしiPhoneの場合、Safariの共有メニューから「ホーム画面に追加」を済ませた状態でのみ通知が届きます。ブラウザのタブで開いているだけでは受け取れません。社内で配布する際は、この手順を案内に含めてください。

Q. 社内システムはPWAで足りますか?

ほとんどのケースで足ります。社内システムは使う人が決まっているため、ストアで検索して見つけてもらう必要がありません。日報・勤怠・申請・顧客管理といった業務であれば、カメラ・位置情報・通知を含めてPWAで対応できます。むしろ更新がその場で全員に反映される点で、専用アプリより運用が楽になります。

Q. PWAはApp Storeに出せますか?

PWAそのものはストアに並びません。ストアに掲載するには、PWAを専用アプリの形で包む対応が別途必要になります。社内利用や会員向けサービスであればストアに出す必要がないことが多いため、まず「ストアに並べる必要が本当にあるか」から検討することをおすすめします。

Q. 今あるWebシステムをPWAにできますか?

多くの場合できます。既存のWebシステムに設定ファイルと仕組みを追加する形になるため、作り直しにはなりません。ただし表示の作りがスマートフォンに対応していない場合は、その調整が必要になります。現在の状態を拝見してからお見積もりします。

Q. 利用者に配布するにはどうすればいいですか?

URLをご案内するだけです。受け取った方がブラウザでURLを開き、「ホーム画面に追加」を選べば完了します。ストアからのインストール作業も、社内での配布用ファイルの用意も必要ありません。新入社員への案内もURL1本で済みます。

まとめ

「アプリを作る」と決める前に、PWAで足りるかどうかを一度検討してみてください。

  • 専用アプリは3つ作ることになり、年間の固定費と審査待ちが発生する
  • PWAはWeb1本で済み、ホーム画面からアプリと同じように使える
  • 修正がその場で全員に反映されるため、業務システムと相性が良い
  • ただしストアからの流入や、端末機能を深く使う処理は苦手

当社では、社内ポータルや業務システムをフルスクラッチで開発しています。「アプリにすべきか、Webで足りるのか」の段階からご相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください。

About the Author

佐藤 駿介

佐藤 駿介

Shunsuke Sato

代表 / Founder & Developer, 合同会社SAi

中小企業のAI・業務自動化を専門とする開発者。営業マンや下請けを介さず、ヒアリングから開発・運用まで一貫して直接対応。「月額1万円から始められる、本当に必要なAIだけ」をモットーに、フルスクラッチ開発を中小企業の手の届く価格で提供している。

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