AIエージェントの作り方|5ステップと自作の限界
こんにちは、合同会社SAi代表の佐藤です。「AIエージェントって、自分たちで作れるものなんですか?」——最近いちばん多い質問です。
答えは「作れます」。任せる仕事を1つに絞れば、ツールを使って短時間で形になります。ただし毎日の業務に載せる段階で、はっきりした壁があります。
この記事では作り方を隠さず5ステップで書いたうえで、実際につまずく場所と、「自分で作る」と「頼む」の分岐点まで整理します。作る側の立場から、正直に書きます。
結論:試すだけなら自作、業務に載せるなら設計が要る
| 自分で作る | 開発を頼む | |
|---|---|---|
| 向いている段階 | 試す・効果を確かめる | 毎日の業務に載せる |
| 得意な処理 | 単発の分類・要約・下書き | 既存システムとつながる一連の流れ |
| かかるもの | ツール利用料+自分の時間 | 月額費用(当社は1万円〜・税別) |
| 詰まる場所 | 例外処理・権限・保守 | ほぼなし(作る側が引き受ける) |
いきなり外注する必要はありません。まず自分で1つ作ってみると、何が難しいかが分かります。そのうえで判断するのが、いちばん失敗が少ない順番です。
前提:AIエージェントは3つの部品でできています
作り方に入る前に、構造だけ押さえておきます。
- 頭脳——文章を理解して判断する部分(ChatGPTなどのLLM)
- 手足——メール・表計算・チャットなど、実際に動かす道具への接続
- 段取り——「まず読む→次に分類する→最後に登録する」という手順の管理
チャットボットとの違いは手足があることです。聞かれたら答えるだけでなく、実際に処理まで行います(仕組みの詳細はAIエージェントとはで解説しています)。
作り方5ステップ
ステップ1:任せる仕事を1つに決める
最初から「全部やらせる」を狙うと必ず失敗します。1業務、できれば1工程に絞ってください。
選ぶ基準は3つです。毎日〜毎週発生する/手順がだいたい決まっている/間違えても取り返しがつく。この条件に合うのは、たとえば次のような仕事です。
- 問い合わせメールを内容ごとに分類して、返信の下書きを作る
- 会議の録音から議事録の草案を作る
- 届いた書類から必要な項目を抜き出して表にまとめる
逆に、金額の確定や送金のように、間違えると取り返しがつかない処理は最初に選ばないでください。
ステップ2:判断のルールを言葉にする
ここが作業時間の大半を占めます。そして最も価値がある工程です。
あなたが普段どう判断しているかを、文章にします。「急ぎかどうかは、件名に日付が入っているかで見る」「この取引先だけは担当者に直接回す」——頭の中では自明でも、書き出さないとAIには伝わりません。
コツは、新しく入った社員に教えるつもりで書くことです。実際、この作業をすると「そもそも自分たちのルールが曖昧だった」と気づくことがよくあります。それ自体が収穫です。
ステップ3:道具をつなぐ
判断だけでは仕事は終わりません。読み込む場所と、書き出す場所をつなぎます。
- 入口:メール、フォーム、チャット、共有フォルダ、スプレッドシート
- 出口:スプレッドシート、チャットへの通知、下書きメール、PDF
自作の場合、ここはツールの機能を組み合わせて実現します(次の章で紹介します)。
ステップ4:人が確認する場所を決める
AIの出力は確率的なので、100%正しい前提では組めません。だから「どこで人が見るか」を先に決めます。
確認を挟む:社外に出る文書、金額に関わる処理、個人情報を含む判断 任せていい:下書き作成、要約、分類、社内向けの一次整理
この考え方をHuman-in-the-Loopと呼びます(AI事業者ガイドラインとAI法でも触れました)。ここを飛ばすと、あとで信頼を失う事故が起きます。
ステップ5:小さく動かして、直す
いきなり全件に適用せず、1日10件だけのように限定して動かします。そして間違えた事例を集めます。
AIエージェントは「作って終わり」ではなく、間違いを見てルールを足していく育て方をします。最初の精度が7割でも、2週間直し続ければ実用レベルになることが多いです。
自作に使える道具
正直に紹介します。用途に応じて選べます。
| 種類 | 代表的なもの | 向いている用途 |
|---|---|---|
| ノーコード型 | Dify、n8n、Zapier、Make | 決まった流れの自動化。画面で組み立てられる |
| チャット拡張型 | ChatGPTのGPTs、Microsoft Copilot Studio | 社内向けの質問応答、下書き作成 |
| コード型 | OpenAI/AnthropicのAPI+開発 | 既存システムとの連携、独自の処理 |
最初の1つを試すなら、ノーコード型かチャット拡張型で十分です。いきなりコードを書く必要はありません。料金体系は各サービスで変わるので、公式サイトでご確認ください。
なお、AIそのものの利用料は思ったより安く済みます。参考までに、当サイトで動いている概算見積もりAIの実測では、2週間で22回の対話をこなして利用料は数円でした。費用の中心はAIではなく、作る手間と、つなぎ込みの部分にあります。
自作でつまずく5つの壁
ここからが本題です。試作までは順調に進んでも、業務に載せる段階で止まるのがほとんどです。
1. 既存システムとつながらない
社内の基幹システムや業務ソフトに外部から接続する口(API)がないケースが非常に多いです。画面から手で入力する前提で作られているためです。ここで「結局、人が転記する」に戻ってしまいます。
2. 例外処理が増え続ける
動かし始めると必ず出てきます。「この取引先だけ書式が違う」「月末だけ処理が変わる」。1つ対応すると、また別の例外が出てくる——ここで力尽きる人が多いです。
3. 権限とデータの扱い
顧客情報や取引先の資料をAIに渡してよいのか。誰がその判断をするのか。ここを曖昧にしたまま運用すると、情報漏えいのリスクを抱えます(AI情報漏洩の事例、AIエージェントのリスクと対策)。
4. 動かなくなったとき、誰も直せない
作った人しか中身を知らない状態になりがちです。担当者が異動・退職すると、そのまま止まります。これはRPAで20年繰り返されてきた失敗と同じ構造です(RPA vs AIエージェント)。
5. 精度を評価する方法がない
「なんとなく合っている気がする」で本番に載せると危険です。何件中何件が正しかったかを測る仕組みがないと、改善もできません。
「作る」と「頼む」の分岐点
判断はシンプルです。
自分で作ったほうがいいケース
- まず効果を確かめたい段階
- 社内で完結する作業(外部システムとつながなくてよい)
- 間違えても取り返しがつく処理
- 社内に手を動かせる人がいて、その時間がある
頼んだほうがいいケース
- 既存システムや基幹データとつなぐ必要がある
- 取引先や顧客が使う(止まると迷惑がかかる)
- 例外処理が多く、業務が特殊
- 作れる人はいるが、その人の時間のほうが高い
- 作った後も動き続けてほしい(保守が要る)
最後の2つは見落とされがちです。自作の費用は「無料」ではなく、担当者の時間です。1業務の作り込みに20時間かかれば、時給2,500円換算で5万円分。外注の月額を上回ることは珍しくありません。
BUILD
自作で詰まった部分だけのご相談も歓迎です
「試作まではできたが、基幹システムとつながらない」「例外処理が増えて手に負えない」——この段階からのご相談が実は一番多いです。全部作り直す必要はなく、詰まっている部分だけ引き取ることもできます。初期費用0円・月額1万円〜(税別)、稼働するまで課金なし。開発者が直接お話しします。
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よくある質問
Q. AIエージェントは自分で作れますか?
A. 作れます。任せる仕事を1つに絞れば、Difyやn8n、ChatGPTのGPTsなどのツールを使って短時間で形になります。ただし既存システムとの連携や例外処理が必要な段階になると、開発の知識が要ります。まず1つ試作してから判断するのが失敗の少ない順番です。
Q. 作るのにプログラミングの知識は必要ですか?
A. 用途によります。社内向けの分類・要約・下書き作成であれば、ノーコードのツールで作れます。一方、基幹システムや業務ソフトとデータをやり取りする場合は、API連携の実装が必要になるためプログラミングの知識が要ります。
Q. 作るのにどれくらい時間がかかりますか?
A. 単純な処理の試作なら数時間〜1日程度です。ただし実務で使える状態にするには、判断ルールの言語化と例外対応に時間がかかります。1業務あたり10〜20時間程度を見ておくと現実的です。
Q. 自作と外注では、結局どちらが安いですか?
A. 自作の費用はツール利用料と担当者の時間です。1業務の作り込みに20時間かかれば、時給2,500円換算で5万円分の人件費になります。当社の受託開発は初期費用0円・月額1万円〜(税別)なので、時間を人件費として計算すると外注のほうが安くなるケースは珍しくありません。
Q. 途中まで自分で作ったものを引き継いでもらえますか?
A. できます。「試作まではできたが業務に載せられない」というご相談は多く、詰まっている部分だけを引き取ることも可能です。全部作り直す必要はありません。
Q. AIの利用料は高くつきませんか?
A. 少量であれば、ほとんど無視できる水準です。当サイトで動いている概算見積もりAIの実測では、2週間で22回の対話をこなして利用料は数円でした。処理件数が1日数千件を超えるような規模になって初めて、利用料の設計が必要になります。
まとめ:作ってみるのは正解。ただし壁の位置を知っておく
- 作り方は①仕事を1つ決める ②判断ルールを言葉にする ③道具をつなぐ ④人が確認する場所を決める ⑤小さく動かして直す
- 最も時間がかかり、最も価値があるのは②の言語化
- 試作はノーコードツールで十分。いきなりコードは不要
- つまずくのは既存システム連携・例外処理・権限・保守・精度評価の5つ
- 自作の費用は「無料」ではなく担当者の時間。20時間なら5万円分
「試したけれど業務に載せられない」という段階のご相談も歓迎です。料金ページをご覧いただくか、お問い合わせからどうぞ。