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RPA導入事例|中小企業が実際に自動化した業務と進め方

公開: 2025/08/25 / 最終更新: 2026/09/01 / By 佐藤 駿介

この記事について

RPAの導入事例を、実際に開発した案件から紹介します。ブラウザ操作の自動化、Excel集計、請求書作成、メール仕分けなど。どんな業務が向いているか、失敗しやすいのはどこか、費用はいくらかを、作る側の立場で整理しました。

読了時間: 約11分
約5,592文字

結論(要点)

RPAが向くのは、毎回同じ手順で、判断がほとんど入らず、件数が多い業務。実際に開発した案件では、APIが用意されていない既存システムへのログイン・検索・入力・ダウンロードの自動化、Excelに分散した売上データの集計、受信メールの自動仕分け、名刺撮影から顧客登録までの連続処理などがある。失敗しやすいのは、例外処理が多い業務に適用した場合と、画面の変更でRPAが止まる場合。費用は月額1万〜3万円が目安で、対象システムと工程数で決まる。まず1業務だけ自動化して、実際の削減時間を測ってから広げるのが確実。

RPA導入事例|中小企業が実際に自動化した業務と進め方

こんにちは、合同会社SAi代表の佐藤です。

RPAの相談を受けるとき、最初に確認するのは「その業務、本当にRPAに向いていますか」です。

向いていない業務に入れると、動かすたびに止まって、結局人が見張ることになります。それでは何も減りません。

この記事では、実際に開発した案件をもとに、どんな業務が向くのか、どこでつまずくのかを整理します。

結論:向いているのは3つの条件が揃った業務

  • 毎回同じ手順でできる
  • 判断がほとんど入らない(例外が少ない)
  • 件数が多い

この3つが揃っていれば、RPAで確実に減ります。1つでも欠けると、導入しても人が張り付くことになります。

そもそもRPAとは

RPAとは、人がパソコンでやっている操作を、そのまま自動で繰り返す仕組みです。

ログインする、検索する、コピーする、貼り付ける、保存する。画面を操作する部分を機械が代わりにやります。

似た言葉との違いを整理しておきます。

やること向いている業務
RPA決まった画面操作を繰り返す手順が固定されている作業
API連携システム同士を直接つなぐ接続先がAPIを用意している場合
AIエージェント状況を見て次の行動を決める判断が必要で、手順が毎回変わる

APIが使えるなら、そちらのほうが速くて壊れにくいです。RPAは「APIが無いシステムを相手にする最終手段」と考えると、選択を間違えません。

RPAとAIエージェントの使い分けはRPA vs AIエージェント|違いと使い分け5基準に詳しく書きました。

実際に自動化した業務

弊社で開発した案件から、RPA・自動化に該当するものを紹介します。すべて秘密保持契約下のため企業名は伏せていますが、業種と作ったものは実際のものです。

① APIが無い既存システムのブラウザ操作

業種:全業種/技術:RPA・Python・ブラウザ自動操作

古い業務システムには、外部から接続する仕組み(API)が用意されていないものが多くあります。この場合、人が画面を操作するのと同じ動きを自動化するしかありません。

担当者が毎日繰り返していたログイン → 検索 → 入力 → ダウンロードという一連の操作を、自動で処理できる仕組みに変えました。

これがRPAの本来の用途です。システムを作り替えずに、外側から動かせます。

② Excelに分散した売上データの集計

業種:小売・サービスほか/技術:Excel・CSV・データ分析

複数のファイルに散らばった売上データを、毎月手作業で集計表とグラフにしていた工程です。

ファイルを投入すると、集計から分析結果の表示まで一連で完結する形にしました。

③ 受信メールの自動仕分け

業種:全業種/技術:メールAPI・生成AI・自動分類

人がメールを開いて内容を確認してから振り分けていた工程を、受信した時点で自動分類する仕組みに変更しました。

ここは純粋なRPAではなく、内容を読んで判断する部分にAIを使っています。「件名に○○が含まれていたら」というルールだけでは振り分けきれないためです。

④ 名刺の撮影から顧客登録まで

業種:営業/技術:OCR・CRM・生成AI

名刺を撮影すると、会社名・氏名・メールアドレスを読み取り、顧客管理に登録できるデータへ変換します。お礼メールの下書き作成までつながります。

名刺の確認、顧客情報の入力、メール作成という3つの工程が、一度の撮影から連続して処理されます

⑤ 請求書の作成

業種:経理/技術:OCR・生成AI・PDF生成

メモやレシートから必要な情報を読み取り、請求書のPDFを自動で作成します。

検証環境では、1件あたり約30分を想定していた作成工程が、約30秒になりました。

※ この数値はデモ環境における処理例です。実際の削減時間は、扱う書類の種類や件数によって変わります。

⑥ 商品画像の整理

業種:EC・小売/技術:Python・画像処理

EC掲載用の商品画像について、ファイル名の変更、並び替え、整理、ZIP化を自動化しました。

大量の画像を1枚ずつ人が処理していた工程です。判断が入らず件数が多いという、RPAに最も向いた形でした。

⑦ 複数システム間のデータ連携

業種:EC・業務システム/技術:API・データベース・自動同期

EC、在庫管理、顧客管理といった複数のシステムに、同じデータを何度も手入力していた工程です。

一度登録した情報を各システムで利用できる構成にしました。この案件はAPIが使えたため、RPAではなくAPI連携で実装しています。

向いている業務の見分け方

案件を通して見えてきた基準です。

判断軸RPAが向く向かない
手順毎回同じ状況で変わる
判断ほぼ不要、またはルール化できる経験や勘に依存する
件数月数十件以上月に数回
対象システム画面が安定している頻繁に画面が変わる
間違えたとき人が直せば済む事故になる

特に大事なのが一番下です。RPAは必ず間違えます。間違えたときに取り返しがつかない業務には、入れないほうがいい。

つまずきやすい3つのこと

① 例外処理が増え続ける

導入時は「毎回同じ手順」に見えても、実際に回すと例外が出てきます。

「この取引先だけ書式が違う」「月末だけ手順が増える」——こうしたものを1つずつ追加していくうちに、設定が複雑になって誰も触れなくなります。

対策は、例外は自動化しないと決めることです。9割を自動化して、残り1割は人がやる。全部を自動化しようとすると破綻します。

② 画面が変わると止まる

RPAは画面の見た目を頼りに操作します。対象システムが更新されてボタンの位置が変わると、動かなくなります。

これは避けられない性質なので、止まったときに気づける仕組みを最初から入れておく必要があります。動かなくなったことに1週間気づかない、というのが一番困ります。

③ 作った人しか直せない

社内の詳しい方が個人で組んだ場合、その方の異動や退職で誰も触れなくなります。

どういう手順を自動化したのか、どこを直せば設定を変えられるのかを、最初から書き残しておいてください。

費用の目安

弊社の場合、RPA・定型業務の自動化は月額1万〜3万円(税別)が目安です。初期費用は0円で、稼働するまで課金は始まりません。

金額は、対象システムの数と工程の複雑さで変わります。

内容目安
1つのシステムで完結する定型操作月1万円〜
複数システムをまたぐ処理月2万〜3万円
AIによる判断が入るもの月2万〜5万円

詳しくはRPA導入費用の相場料金一覧をご覧ください。

ツールを自社で選定する場合はRPAツール比較が参考になります。

進め方

1業務だけ選んで、実際の時間を測ってから広げるのが確実です。

ステップ1:1週間、時間を測る

対象にしたい業務が実際に何分かかっているかを測ってください。紙のメモで構いません。

これをやらないと、導入後に効果を説明できません。ここは無料でできて、後から取り返せない唯一の作業です。

ステップ2:1業務だけ自動化する

複数を同時に始めないでください。1つ動かして、例外がどれくらい出るかを見ます。

ステップ3:測った時間と比べる

ステップ1の数字と比較します。効果が見えなければ、その業務はRPAに向いていなかったということです。次に移ってください。

よくある質問

Q. RPAに向いている業務は何ですか?

毎回同じ手順で、判断がほとんど入らず、件数が多い業務です。この3つが揃っていれば確実に効果が出ます。具体的には、既存システムへのログインと入力、複数ファイルの集計、画像やファイルの整理、システム間のデータ転記などです。逆に、状況によって手順が変わる業務や、間違えると事故になる業務には向きません。

Q. RPAとAIエージェントは何が違いますか?

RPAは決まった手順を繰り返す仕組み、AIエージェントは状況を見て次の行動を決める仕組みです。手順が固定されているならRPA、判断が必要で毎回やり方が変わるならAIエージェントが向きます。なお接続先にAPIが用意されているなら、RPAよりAPI連携のほうが速くて壊れにくいので、そちらを優先してください。

Q. RPAの費用はいくらぐらいですか?

弊社の場合、月額1万〜3万円(税別)が目安です。初期費用は0円で、稼働するまで課金は始まりません。1つのシステムで完結する定型操作なら月1万円から、複数システムをまたぐ処理は月2万〜3万円、AIによる判断が入るものは月2万〜5万円が目安になります。

Q. RPAが止まることはありますか?

あります。RPAは画面の見た目を頼りに操作するため、対象システムが更新されてボタンの位置が変わると動かなくなります。これは避けられない性質なので、止まったときに気づける仕組みを最初から入れておくことが重要です。動かなくなったことに1週間気づかない、という状態が一番困ります。

Q. 導入して失敗するのはどんな場合ですか?

例外処理が多い業務に適用した場合です。「この取引先だけ書式が違う」「月末だけ手順が増える」といった例外を1つずつ追加していくうちに設定が複雑になり、誰も触れなくなります。9割を自動化して、残り1割は人がやると割り切るのが成功のコツです。

Q. 何から始めればいいですか?

1業務だけ選んで、まず1週間その業務にかかっている時間を測ってください。紙のメモで構いません。これをやらないと導入後に効果を説明できず、次の投資判断もできなくなります。測ったうえで1業務だけ自動化し、実際に減った時間を比べる。効果が見えなければ、その業務は向いていなかったということです。

まとめ

  • RPAが向くのは毎回同じ手順・判断が入らない・件数が多い業務
  • APIが使えるなら、RPAよりAPI連携のほうが速くて壊れにくい
  • 実際の案件では、既存システムのブラウザ操作、Excel集計、メール仕分け、名刺登録、請求書作成、画像整理などを自動化しています
  • つまずくのは例外処理・画面変更・属人化の3つ
  • 例外は自動化しない。9割を自動化して1割は人がやる
  • 費用は月額1万〜3万円(税別)が目安。初期費用0円、稼働するまで課金なし
  • まず1週間、時間を測る。ここは無料でできて、後から取り返せません

「うちのこの作業、RPAで減らせますか」というご相談だけでも構いません。お問い合わせからどうぞ。作る本人が直接お話を聞きます。

About the Author

佐藤 駿介

佐藤 駿介

Shunsuke Sato

代表 / Founder & Developer, 合同会社SAi

中小企業のAI・業務自動化を専門とする開発者。営業マンや下請けを介さず、ヒアリングから開発・運用まで一貫して直接対応。「月額1万円から始められる、本当に必要なAIだけ」をモットーに、フルスクラッチ開発を中小企業の手の届く価格で提供している。

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