RPAの月額が高い|ライセンスを減らす置き換えの判断基準
こんにちは、合同会社SAiの佐藤です。RPAの置き換えや、APIを使った自動化の開発を請けている立場から書きます。
RPAを何年か使っていると、こんな状態になっている会社が多いです。
- ロボットは30件以上あるが、実際によく動いているのは10件ほど
- 画面が変わるたびに直していて、月額のわりに手がかかる
- 減らしたいが、どれを消せば月額が下がるのか分からない
この記事では、月額を下げるにはロボットではなくライセンスを減らす必要があること、どのロボットを置き換えてどれを残すかの判断基準、そして実際の進め方を整理します。
結論:月額はロボットの数ではなく、ライセンスの本数で決まる
RPAの月額は「ロボット1件いくら」ではなく、「ライセンス1本いくら」です。
たとえば国内で導入の多いロボパット(株式会社FCE)は、公式FAQで次の料金を公開しています。
| ライセンス | できること | 月額(税別) |
|---|---|---|
| フル機能ライセンス | ロボットの作成+実行 | 14万円 |
| 実行用ライセンス | ロボットの実行のみ | 5万円 |
出典:ロボパット公式FAQ「導入費用は?」(2026年7月時点。初期費用・バージョンアップ・サポートは無料)
フル1本と実行用3本なら月29万円(税別)です。この構成で34件のロボットを動かしていても、10件のロボットを消しても、ライセンスが4本のままなら月額は29万円のままです。
つまり、月額を下げる問いは「どのロボットを減らすか」ではなく、「どのロボットをまとめて置き換えれば、ライセンスを1本外せるか」です。ここを取り違えると、手間をかけてロボットを減らしたのに請求が変わらない、ということが起きます。
なぜ画面操作型のRPAは月額が下がりにくいのか
画面操作型のRPA(ロボパットのほか、WinActor、BizRobo!のデスクトップ型など)は、人がやる操作をそのまま覚えさせる方式です。導入は早い反面、次の3つで費用が固定されます。
- 同時に動かす数だけライセンスが要る。夜間にまとめて動かすにしても、並列で動かすならその本数ぶん必要です。
- 動かしている間、そのパソコンは占有される。実行用のPCを別に用意するか、担当者のPCを空けておくことになります。
- 画面が変わると止まる。ECの管理画面や会計ソフトの画面が変わるたびに直す作業が発生し、その手間は月額に含まれていません。
一方で、APIやCSVで直接やり取りする処理は、サーバー上で動くのでライセンスもPCも要りません。画面の見た目が変わっても影響を受けません。ここが置き換えの効く理由です。
置き換えられるかの判断基準は3つ
ロボット1件ごとに、次の3つを確認します。
1. 入力がCSV・API・メールで取れるか
ロボットが最初に読んでいるものが、Excel・CSV・メール・APIなら置き換えられます。画面をスクロールして目で拾っているだけの処理も、元データがどこかにあれば同じです。
2. 出力先にAPIがあるか
書き込む先にAPIがあれば、画面操作は不要になります。ECや会計まわりでは、次のサービスがAPIを公開しています。
- Next Engine(受注・商品・在庫)
- 楽天市場のRMS WEB SERVICE(商品・在庫・受注。出店者がライセンスキーを取得)
- Yahoo!ショッピング(商品・在庫・注文。利用申請が必要)
- freee(取引・仕訳・請求書など)
- Google Workspace(スプレッドシート・Gmail・ドライブ)
出力先が「社内システム」の場合は、APIかCSVの取り込み口があるかで決まります。どちらも無く画面しか触れないなら、そこは残す候補です。
3. 手順が毎回同じか
毎回同じ手順で流れる処理は、そのままコードにできます。月に数回しか動かず、しかも毎回人が判断を挟む処理は、置き換えても効果が薄いうえに作り直しの費用がかさみます。
3つとも満たすものが「置き換える」、1つでも欠けるものは「残す」か「要相談」です。
残したほうがいい業務
無理に全部を置き換えないほうが結果は良くなります。次の業務は残す判断が多いです。
- 画面操作しかできない相手:APIもCSV出力も無い古い業務ソフトや、取引先のポータルサイト
- 月に数回で、手順が毎回少し違う:作り直す費用がライセンス代を上回る
- 人の目で見て判断している:例外が多く、ルールに落ちていない処理
こうした業務をブラウザ自動化で無理に作り直すと、画面が変わるたびに止まるという、RPAと同じ壊れ方をします。
置き換えたあとの費用の考え方
置き換えは、ライセンスの月額を「開発費(一括)+保守(月額)」に組み替える作業です。
| 項目 | RPA(画面操作型) | API・CSV連携に置き換え |
|---|---|---|
| 毎月の固定費 | ライセンス料(本数分) | サーバー代・API利用料で月数百〜数千円 |
| 初期の費用 | 少ない(ロボットは自分たちで作る) | 開発費がかかる(業務ごとに見積) |
| 画面変更の影響 | 止まる。都度修正 | 受けない |
| 夜間の無人実行 | PCとライセンスを確保 | サーバーで実行。人の承認箇所だけ残せる |
ランニングが月数百〜数千円になるのは、たとえばfreeeやNext EngineのAPI呼び出しは無料か定額で、動かすサーバーも小さなもので足りるからです。生成AIを使う処理を入れても、1件あたり数円の水準です。
開発費を助成金で賄う場合は、厚生労働省の「業務改善助成金」のように交付決定の前に発注すると対象外になる制度が多く、申請時に2者以上の見積書を求められることもあります。日程を先に確認してから、置き換えの範囲を決めると安全です。
進め方:ライセンス1本ぶんをまとめて置き換える
手順は4つです。
- ロボットの一覧を書き出す。名前、何をしているか、動く頻度、操作している画面(ブラウザ・Excel・デスクトップソフト)、関係するシステム。分かる範囲で構いません。
- 3つの基準で仕分ける。「置き換える」「残す」「要相談」の3つに分けます。
- ライセンス1本ぶんをまとめる。置き換え候補のうち、同じライセンス(同じPC)で動いているものをひとまとめにします。ここが単位です。
- 最優先の1業務から本番に載せ、ライセンスを外す。1本外れた時点で月額が下がります。次の1本に進みます。
ロボットの数ではなく「外せたライセンスの本数」を進捗にすると、費用の見通しがぶれません。
よくある質問
Q. ロボパットは他のRPAより高いのですか?
A. 公開価格で比べると、フル機能14万円・実行用5万円は国内のデスクトップ型では中間の水準です。初期費用とサポートが無料なので、少数のロボットを短期間で作るには向いています。高く感じるのは、ロボットが増えて実行用ライセンスを足したあとに、使われないロボットが残っているときです。
Q. Pythonで内製すれば費用はゼロになりますか?
A. ライセンス料はゼロになりますが、作る人の時間と、動かし続ける仕組み(サーバー、エラー通知、失敗したときの再実行)が必要です。社内に書ける人がいて、その人が辞めても続く体制があるなら内製は良い選択です。そうでなければ、外注で作って保守だけ月額で持つ形のほうが安定します。
Q. 全部を置き換えてRPAを解約できますか?
A. できる会社もありますが、画面操作しかできない業務が1つでも残ると、その1本は残ります。「全面廃止」ではなく「ライセンスを何本減らせるか」で目標を置くと、現実的な計画になります。
Q. 置き換えにどれくらいかかりますか?
A. 入力と出力が両方APIで取れる業務なら、1業務あたり数週間で本番に載せられます。社内システムとの連携や、承認の仕組みを入れる場合はその分が足されます。最初の1本を早く外して、効果を見てから次に進むのが安全です。
まとめ
- RPAの月額はロボットの数ではなく、ライセンスの本数で決まる
- 置き換えの判断基準は「入力がCSV・API・メールで取れる」「出力先にAPIがある」「手順が毎回同じ」の3つ
- 画面操作しかない業務、月数回で手順が変わる業務は残す
- ライセンス1本ぶんをまとめて置き換え、外せた本数を進捗にする
いま動いているロボットの一覧があれば、どれを置き換えられるかは短時間で判定できます。「一覧はあるが、どこから手をつけるか決めかねている」という段階でも、お問い合わせから相談してください。