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AIエージェントは1つで作る|分けてよい3つの条件

公開: 2026/10/26 / By 佐藤 駿介

結論(要点)

AIエージェントは、役割ごとに複数へ分けるより、1つのエージェントが必要なときに手順書(スキル)や道具を読み込む形のほうが、質・費用・待ち時間の面で有利になりやすい。Anthropicは2026年10月22日の記事でこの考え方を勧め、ある利用企業では処理時間がおよそ半分になった例を紹介している。分けてよいのは、1つでは読む情報が多すぎて質が落ちると測って分かるとき、別々の作業を同時に進めたいとき、道具の選び方に迷う・指示がぶつかるときの3つ。まとめるときは、それまで通っていた確認の手順が抜けないかを試してから切り替える。

この記事の目次

AIエージェントを作るとき、「受付係」「計画係」「専門係」のように役割ごとにエージェントを分けて組む作り方があります。社内の組織図に近いので分かりやすく、これまでよく使われてきました。

この記事では、Claudeを作るAnthropicが2026年10月22日に出した指針をもとに、エージェントを1つで作るか分けるかの決め方に絞って整理します。

結論:まず1つで作り、分けるのは条件に当てはまるときだけ

AIエージェントは、1つのエージェントが、必要なときに必要な手順書(スキル)や道具を読み込む形で作るのが基本です。分けるのは、後で説明する3つの条件に当てはまるときだけにします。

Anthropicの記事「Building agents: When to fold subagents into your main agent loop」は、サブエージェント(親のエージェントから仕事を任される別のエージェント)を減らし、1つの流れにまとめることで、質が上がりやすく、費用と待ち時間も減らせるとしています。 https://claude.com/resources/articles/building-agents-when-to-fold-subagents-into-your-main-agent-loop

Anthropicの指針で示されたこと

記事の要点は次のとおりです。

  • 勧めている形:1つのエージェントが、スキルや道具を必要なときに読み込む
  • 理由:分けると、受け渡しのたびに情報が抜け、遅く、高くなりやすい
  • 実例:ある利用企業で、分けた構成より1つの構成のほうが処理時間がおよそ半分
  • 失敗例:試しにまとめたら、専門の係に確かめるはずの手順を飛ばした
  • 分けてよい場合:情報が多すぎて質が落ちる/同時に進めたい/道具や指示が迷う・ぶつかる

背景には、モデルの性能が上がり、1つのエージェントでも長い手順を計画して進められるようになったことがあります。分ける作り方は、モデルがまだ長い手順を扱えなかった頃の工夫という面もありました。

分けると何が起きるか

エージェントを分けると、エージェントからエージェントへ仕事を渡す場面が増えます。そこで起きやすいのは次の3つです。

  • 情報が抜ける:渡すときに要約されるので、お客様の細かい事情や前のやり取りが落ちる
  • 遅くなる:渡すたびにAIの呼び出しが増え、待ち時間が積み重なる
  • 高くなる:呼び出しの回数だけ、AIの利用料がかかる

もう1つ、お客様から見ると、窓口ごとに話し方や答えがぶれることがあります。社内の部署に合わせて分けた結果、利用者には一貫しない対応に見える、という問題です。

分けてよい3つの条件

次の3つのどれかに当てはまるときは、エージェントを分けるほうがよい場合があります。

  1. 1つでは読む情報が多すぎて、質が落ちると測って分かる:感覚ではなく、同じ問題を解かせて比べたうえで判断する
  2. 別々の作業を同時に進めたほうが速い:たとえば、10社分の資料をそれぞれ読んで要点を返すような作業
  3. 道具の選び方に迷う、指示どうしがぶつかる:使える道具が多すぎる、部署ごとに正反対の決まりがある、など

逆に言えば、「役割が違うから」「組織図ではこう分かれているから」という理由だけでは分けません。

まとめるときの注意

今すでに分けて動いている仕組みを1つにまとめるときは、一度に全部まとめないことが大切です。

Anthropicの記事でも、まとめた結果、速くはなったものの、出荷日の確認を飛ばして答えてしまった例が載っています。専門の係が毎回やっていた確認が、1つにした途端に抜けたわけです。

  • 1つずつまとめて、それまで通っていた試験がまだ通るかを確かめる
  • 必ず行う確認(在庫・出荷日・金額など)は、AIの判断に任せず手順として固定する
  • 送信・支払い・削除のような大事な操作の前には、人の確認を挟む

発注する前に、開発会社へ聞くこと

AIエージェントの開発を頼むときは、次の3つを聞いておくと、作り方の考え方が分かります。

  • エージェントはいくつで作りますか。分けるなら、その理由は何ですか
  • 必ず行う確認は、どこで固定していますか
  • 人が確かめる場面はどこですか

エージェントの数が多いことは、それだけでは良い悪いを決めません。分けた理由を、上の3つの条件のように説明できるかどうかを見てください。

当社では、AIエージェントは原則1つで作り、大事な操作の前には人の確認を挟んでいます。注文の受付を例にした画面は、受注エージェントのデモで触れます。

よくある質問

マルチエージェントは、もう古い作り方ですか?

古いわけではありません。並べて同時に進めたい作業や、1つでは情報が多すぎる作業では、今も分けるほうが向いています。変わったのは、「最初から分ける」のではなく「1つで作り、必要なときだけ分ける」順番です。

1つにまとめると、指示が長くなりすぎませんか?

すべての手順を最初から読ませるわけではありません。手順書(スキル)は短い説明だけを先に見せ、必要になったときに中身を読み込みます。規約や商品の資料のような参考情報も、必要なときに検索して読む形にします。

今あるエージェントを作り直す必要はありますか?

今の仕組みで困っていなければ、急いで作り直す必要はありません。遅い、高い、窓口ごとに答えがぶれる、といった困りごとがあるときに、1つずつまとめて比べるのが安全です。

AIエージェントの作り方と費用はAIエージェント開発のページにまとめています。初期費用0円・月額1万円から、通常の修正は月額の中で対応しています。

この記事を書いた人

佐藤 駿介

佐藤 駿介

Shunsuke Sato

代表 / Founder & Developer, 合同会社SAi

中小企業のAI・業務自動化を専門とする開発者。営業マンや下請けを介さず、ヒアリングから開発・運用まで一貫して直接対応。「月額1万円から始められる、本当に必要なAIだけ」をモットーに、フルスクラッチ開発を中小企業の手の届く価格で提供している。

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