原材料費、光熱費、人件費が上がる中で、料金だけ据え置きでは店が続きません。値上げを決めること自体より、お客様にどう伝えるかで手が止まる方が多いので、そのまま使える例文6本と、告知の時期・回数券の扱い・税込表示の決まりをまとめました。
値上げのお知らせに入れる4つのこと
迷ったら、この順番で書けば漏れません。お詫びを重ねる必要はなく、値上げは店を続けるための判断です。
- 01いつから・何が・いくらになるか実施日、対象のメニューや商品、新しい料金(税込)
- 02理由1〜2文で簡潔に
- 03回数券・予約済みの分の扱いお客様がいちばん気にする実務の情報
- 04感謝と、これからの約束品質を保つ・高めること
- 使い方〇〇〇を自店の名前・メニューに
- 日付〇月〇日を実施日に
- 金額0,000円を税込の新料金に
例文1:店頭掲示用(基本)
料金改定のお知らせ 平素より〇〇〇(店名)をご利用いただき、 誠にありがとうございます。 原材料費および光熱費、人件費の上昇により、 現在の料金を維持することが難しくなりました。 誠に心苦しいのですが、〇月〇日(〇)より、 下記のとおり料金を改定させていただきます。 【改定日】20XX年〇月〇日(〇)ご来店分より 【改定内容】 ・〇〇〇 現在 0,000円 → 改定後 0,000円(税込) ・〇〇〇 現在 0,000円 → 改定後 0,000円(税込) お手持ちの回数券は、有効期限まで 現在の内容のままご利用いただけます。 これからも、ご満足いただける品質とサービスを お届けできるよう努めてまいります。 何卒ご理解くださいますよう、お願い申し上げます。 20XX年〇月〇日 〇〇〇(店名) 店主 〇〇 〇〇
例文2:美容室・サロン向け(丁寧版)
料金改定のお知らせ いつも〇〇〇(サロン名)をご利用いただき、 心より感謝申し上げます。 当サロンでは、お客様に安心して通っていただけるよう 料金の維持に努めてまいりましたが、 薬剤・材料の仕入れ価格や光熱費の上昇が続いており、 これまでの料金で同じ品質を保つことが難しくなりました。 つきましては、〇月〇日(〇)のご来店分より、 下記のとおり料金を改定させていただきます。 【改定後の料金(税込)】 カット 0,000円 → 0,000円 カラー 0,000円 → 0,000円 パーマ 0,000円 → 0,000円 トリートメント 0,000円 → 0,000円 ※ 上記以外のメニューは、現在の料金のままです。 【回数券・ご予約について】 ・お手持ちの回数券は、有効期限まで現在の内容でご利用いただけます。 ・〇月〇日までにご予約いただいた分は、 ご来店日が改定日以降でも、現在の料金で承ります。 改定後は、〇〇〇(例:使用する薬剤の見直し、施術時間の確保)など、 これまで以上にご満足いただける施術をお届けしてまいります。 今後とも変わらぬご愛顧を賜りますよう、お願い申し上げます。 20XX年〇月〇日 〇〇〇(サロン名) 代表 〇〇 〇〇
「上記以外は現在の料金のまま」と「予約済みの分は旧料金」の2行は、書いておくと問い合わせが減ります。旧料金で受ける予約の締め切り日は、必ず日付で書きます。
例文3:飲食店向け
価格改定のお知らせ 日頃より〇〇〇(店名)をご愛顧いただき、 誠にありがとうございます。 食材の仕入れ価格と光熱費の上昇により、 〇月〇日(〇)より、一部メニューの価格を 改定させていただくことになりました。 【主な改定内容(税込)】 ・〇〇定食 0,000円 → 0,000円 ・〇〇 000円 → 000円 ※ ランチセットの価格は据え置きます。 量や品質を落として価格を保つのではなく、 これまでどおりの味でお出しし続けるための改定です。 何卒ご理解くださいますよう、お願い申し上げます。 〇〇〇(店名) 店主
飲食店では、据え置くメニューを1つ決めて明記すると、受け止められやすくなります。

サロンや飲食店では、掲示を見て「え、上がるの?」と言われる前に、常連の方へひと言添えるのがいちばん効きます(例文6)。
例文4:LINE・SNS用(短文)
【料金改定のお知らせ】 いつもご来店ありがとうございます。 材料費・光熱費の上昇により、 〇月〇日(〇)より一部メニューの料金を 改定させていただきます。 ▼改定後の料金(税込) ・〇〇〇 0,000円 → 0,000円 ・〇〇〇 0,000円 → 0,000円 お手持ちの回数券は、そのままお使いいただけます。 〇月〇日までのご予約は、現在の料金で承ります。 これからも、来てよかったと思っていただけるよう 努めてまいります。 詳しくはプロフィールのリンクをご覧ください。
SNSでは、画像1枚に「いつから・いくら」を大きく入れ、本文は短くします。LINEは一斉配信を1回、実施の2週間前にもう1回が目安です。

例文5:メール・ホームページ用
件名:料金改定のお知らせ(〇月〇日より) 〇〇 様 いつも〇〇〇(店名)をご利用いただき、誠にありがとうございます。 このたび、原材料費・光熱費・人件費の上昇を受け、 20XX年〇月〇日(〇)より、料金を改定させていただくことになりました。 ■ 改定日 20XX年〇月〇日(〇)ご利用分より ■ 改定後の料金(税込) ・〇〇〇 0,000円 → 0,000円 ・〇〇〇 0,000円 → 0,000円 (料金表の全体はこちら:https://〇〇〇) ■ 回数券・ご予約済みの分について ・お手持ちの回数券は、有効期限まで現在の内容でご利用いただけます。 ・〇月〇日までにいただいたご予約は、現在の料金で承ります。 お客様にはご負担をおかけいたしますが、 これまで以上にご満足いただけるよう努めてまいります。 ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 〇〇〇(店名) 電話:00-0000-0000
例文6:常連のお客様に、口頭で伝えるとき
来店時のひと言(文面より先に効きます)
「いつもありがとうございます。実は〇月から、カットを〇〇円に改定させていただくことになりました。材料も光熱費も上がっていて、今の料金で同じ質を保つのが難しくなってしまって。〇〇さんの回数券は、そのままお使いいただけますので。」
掲示やLINEで初めて知るより、担当者から直接聞いたほうが、受け止め方が変わります。

告知は「出した日」ではなく「次に来店する日」に間に合うかで考えます。来店の間隔が長い店ほど早めに。
告知の時期:1〜2か月前が目安
- 2か月前新しい料金と実施日を決める
スタッフ全員に共有し、聞かれたときの答え方をそろえる
- 1〜2か月前店頭・ホームページ・LINEやSNSで告知
来店時に口頭でも伝える
- 2週間前LINE・SNSでもう一度
旧料金で受ける予約の締め切りを伝える
- 当日料金表・メニュー表・予約サイト・Googleビジネスプロフィールを一斉に切り替え
店頭は新料金なのに予約サイトやGoogleマップが旧料金のまま、がいちばん多いトラブル
- 1か月後来店数と客単価を前年の同じ月と比べて記録
法律で決まった告知期限はありません。ただし、美容室の利用は女性で年4.18回(リクルート「美容センサス2026年上期」、およそ87日に1回)。来店の間隔が長い業種では、1か月前の告知だと次の来店が値上げ後になる方に伝わらないことがあるので、2か月前からが安全です。
値上げのときに守ること
新しい料金は、税込で書く
お客様に向けてあらかじめ価格を表示するときは、消費税を含めた総額を表示する義務があります(総額表示義務)。「5,500円(税込)」のように税込の金額がはっきり分かる書き方に。お知らせ・料金表・メニュー・ホームページ・予約サイトのすべてが対象です。
販売済みの回数券・前払い分は、買ったときの条件で
追加の支払いなしで、買ったときの内容のまま使えるようにするのが原則です。エステなどで期間1か月超・金額5万円超の継続契約(特定継続的役務提供)は、契約期間の途中で店側が一方的に料金を変えることはできません。新しい料金は次の契約から。
値上げの直後に「割引」を出すときの注意
値上げ後の料金を「通常価格」として割引を表示する場合、その価格で販売した実績が十分にないと不当な二重価格表示にあたるおそれがあります(消費者庁)。値上げ直後の「通常価格の〇%オフ」は避けます。
伝え方で気をつけること
書く前のチェック
- 理由は1〜2文で。内訳や苦しい事情を長く書くと言い訳に見える
- お詫びは1回。感謝と、これからの約束のほうを厚く
- あいまいにしない。「一部メニューを若干改定」ではなく、メニュー名と金額を書く(初めてのサロンで重視した点に「料金が明確」25.3%)
- スタッフの答え方をそろえる。「なぜ上がるの?」への一言を全員で決めておく
- 全メニューを一律に上げない。入口になるメニューを1つ据え置く
値上げのあとに、来店を減らさないために
割引以外で、次に来る理由を作る
- 次回予約の声かけ:会計のときに次の目安の時期を伝えて、その場で予約を取る
- 来店の合間の連絡:来店後のお礼と、次の目安の時期をLINEで送る
- 来店時の小さな楽しみ:来店するとLINEで引けるガチャのように「当たるかも」で来店の理由を作る。景品の原価は当選確率と月の上限で先に決められるので、割引のように利益を削らない
値上げと同時に割引クーポンを配ると、値上げの意味が薄れ「クーポンがないと来ない」お客様を増やします。いまのサロンを続けている理由の上位は「ネット予約できる」33.6%、「自宅から近い」30.6%(同センサス)。通いやすさが保たれていれば、料金が少し上がっても通い続けてくれる方は多いはずです。
まとめ
- お知らせには、いつから・何が・いくら/理由/回数券と予約の扱い/感謝と約束の4つを入れる
- 告知は1〜2か月前。来店の間隔が長い業種は2か月前から。常連の方には口頭でも
- 新しい料金は税込で書く。販売済みの回数券は、買ったときの条件で使えるようにする
- 理由は簡潔に、金額は具体的に。お詫びより、感謝とこれからの約束を厚く
- 値上げと同時に割引を配らない。来店の動機は、割引以外の仕組みで作る
よくある質問
Q. 値上げのお知らせは、いつ出せばいいですか?
A. 実施の1〜2か月前が目安です。来店の間隔が長い業種(美容室は女性で年4回ほど)は2か月前から、店頭・LINE・ホームページで告知し、来店時に口頭でも伝えます。
Q. 値上げの理由は、どこまで書くべきですか?
A. 「原材料費や光熱費、人件費の上昇により、現在の料金を維持することが難しくなりました」のように事実を1〜2文で。細かい内訳を長く書くと言い訳に見えます。
Q. すでに買ってもらった回数券は、どう扱えばいいですか?
A. 買ったときの条件のまま、追加の支払いなしで使えるようにするのが原則です。お知らせに「有効期限まで現在の内容でご利用いただけます」と明記します。
Q. 新しい料金は、税込と税抜のどちらで書けばいいですか?
A. 税込で書きます。消費者向けの価格はあらかじめ総額で表示する義務(総額表示義務)があります。
Q. 値上げでお客様が離れないか心配です。
A. 離れる方は一定数出ますが、早めに・はっきり・感謝とともに伝えることと、値上げの直後に割引以外の来店の理由を用意しておくことで減らせます。