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需要予測AIに必要なデータは何年分?最低1年・理想4年

公開: 2026/10/13 / By 佐藤 駿介
読了時間: 約8分
約4,137文字

結論(要点)

需要予測AIに必要なデータは、最低1年分(季節の山が1周しないと季節要因を分離できない)、理想は3〜4年分(同じ月を複数回比べられる)。粒度は業態で違い、毎日発注する業態は日別の販売実績が1年以上、月1回の計画を立てる業態は月別の出荷・在庫の受払が3〜4年分あれば足りる。卸経由で末端の売れ行きが見えなくても、自社からの出荷実績で予測できる。得意先別の出荷があると、急に増えた分が1社や1日に偏っていないかを見分けられる(当社の検証では急増の57%は30日以内に元の水準へ戻る)。欠品していた日を需要ゼロとして平均に入れると、動きの少ない商品ほど日販が実態の何倍にも膨らむので、在庫の推移から欠品日を除いて計算する。製品と包装資材は、納期が段ボール10日・化粧箱2か月のように違うので、別の仕組みとして扱う。気温や暦などの外部要因は最初から入れず、外れた日を見てから足す。1年に満たない場合は予測ではなく「切らさない下限」から始める。

この記事の目次

需要予測の商談で、最初に出る質問がこれです。「データは何年分あればいいですか」。続けて、「うちは卸を通しているので、お店でどれだけ売れたかは分かりません。それでもできますか」「月に1回しか計画を立てないのですが、使えますか」。

答えは、最低1年分、理想は3〜4年分です。ただし、何を何年分かは業態で違います。この記事は、酒類の販売会社向けに発注エンジンを作り、過去データで81通りの検証をした立場から、その質問に順番に答えたものです。需要予測を何に使うかの整理は需要予測AIは何に使うか|業種で変わる出口と費用に分けています。

結論:最低1年、理想は3〜4年。粒度は業態で決まる

年数理由
最低限1年分季節の山が1周しないと、何が季節要因で何が一時的な動きかを分けられない
理想3〜4年分同じ月を3回以上比べられる。1年だけだと、その年のたまたま(天候、イベント、欠品)を季節と誤認する
中身日付・商品・数量単価、取引先、在庫があればなお良い
形式CSVかExcel販売管理ソフトやPOSからの書き出しで足りる。整っていなくてよい

そのうえで、粒度が業態で変わります。

業態必要な粒度例
毎日、または週に数回発注する日別の販売実績が1年以上酒類の小売・EC、食品卸、飲食店
月に1回、製造や仕入れの計画を立てる月別の出荷と在庫の受払が3〜4年分蔵元、製造業の製品計画

日々発注する業態で月別のデータしかないと、発注点(いつ発注するか)が決められません。逆に、月1回の計画を立てる業態に日別のデータは必須ではなく、月別の出荷・在庫・持ち越しがそろっていれば予測は立ちます。

卸を通していて、末端の売れ行きが見えない場合

製造業や蔵元に多い状況です。自社から出荷した先は卸で、その先の小売店でいつ何本売れたかは分かりません。

それでも予測はできます。予測の対象を「末端の販売」ではなく「自社からの出荷」にすればいいからです。計画を立てる目的は、自社の在庫を切らさず、作りすぎないことです。その判断に必要なのは、自社がいつ、どれだけ出荷したかであって、小売店の棚の動きではありません。

ただし、1つだけ足してほしいデータがあります。得意先別の出荷実績です。

理由は、急に増えた出荷の正体を見分けるためです。ある月に出荷が1.5倍になったとき、それが多くの得意先で少しずつ増えた結果なのか、1社が1回だけ大量に仕入れた結果なのかで、翌月の計画はまるで違います。当社の検証では、急に売れた商品の57%は、30日以内に元の水準へ戻りました。得意先別の実績があると、この見分けを仕組みの側でできます。

当社が酒類の販売会社向けに作った仕組みでは、この「急に売れた分が特定の取引先や1日に偏っていないか」をAIエージェントが確かめ、推奨数の補正を提案する形にしています。詳しくは酒類ECの需要予測・発注支援の事例にあります。

欠品していた日を、どう扱うか

ここは、データの年数より結果を左右します。

在庫が0で売れなかった日を「需要0」として平均に入れると、需要を低く見積もります。逆に、その月に売れた日数で割る計算をすると、動きの少ない商品ほど日販が膨らみます。当社が以前の版で見つけた不具合では、低回転の商品の日販が実態の最大30倍近くになっていました。

正しくは、在庫の推移から欠品していた日を特定して、平均の計算から除くことです。これをやるには、販売実績だけでなく在庫の推移(または入荷の記録)が要ります。「必要なデータは日付・商品・数量」と上で書きましたが、在庫か入荷の記録があると、この補正ができます。

この補正を含めて直した版を、過去データで検証した結果はこうでした。出荷できた割合をほぼ同じに保ったまま、平均在庫を42%減らせています。

直す前直した後
出荷できた割合(充足率)98.8%98.9%
平均在庫10058
在庫日数25.5日14.8日

平均在庫は、直す前を100とした相対値です。数量そのものは守秘義務のため出していません。

製品と包装資材は、別の仕組みにする

製造業や蔵元では「製品の計画と、瓶・箱・ラベルなどの資材の発注を、一緒にできないか」とよく聞かれます。

データとしては同じ形で扱えますが、仕組みとしては分けたほうがいいです。理由は納期です。段ボールは最短10日で届きますが、化粧箱は2か月かかる、というように資材ごとに納期がばらばらで、製品の需要予測とは別の時間軸で動きます。製品の予測を先に動かし、そこから資材の必要量を逆算する、という順番にすると、両方が一度に崩れません。

最初の導入では、製品の計画に絞ることをおすすめしています。資材は、製品の予測が安定してから足すほうが、失敗したときに原因を追えます。

気温、暦、イベントは後から足す

「気温や連休も入れたほうが当たりますか」も、必ず聞かれます。

効くことはあります。ただし、最初から全部入れないでください。変数が増えるほど、外れたときに何が原因か追えなくなります。

順番はこうです。

  1. まず販売実績だけで動かす
  2. 外れた日を見て、その日に何があったかを確かめる(気温、連休、通販モールの催事、テレビで紹介された、など)
  3. 効いていると分かったものだけを足す

海外への出荷がある場合も、仕組みは同じです。国ごとに暦(旧正月、感謝祭など)が違うだけなので、暦の表を差し替えれば動きます。海外の実績が少ないうちは、国内と同じ商品の季節性を借りて始めます。

データが1年に満たない場合

新しい商品、新しい事業、始めたばかりの通販。この場合は予測を出すより、「切らさない下限」から始めるほうが現実的です。直近の実績から、この在庫を下回ったら発注する、という線だけを決めて運用し、データが貯まってから予測に切り替えます。

需要予測は、データが貯まるほど精度が上がる仕組みです。早く記録を始めるほど有利になります。いまExcelで管理していて、日付・商品・数量の3列があるなら、それがそのまま最初のデータになります。

費用の目安

当社の場合、需要予測・発注支援の仕組みは初期費用0円・月額制(個別見積)です。データの量と、連携する仕組み(販売管理ソフト、在庫、AIエージェント)で変わります。稼働するまで課金は始まりません。

動く画面は在庫管理のデモで触れます。作りたいものを選ぶだけで概算が出る概算見積もあります。

よくある質問

Q. 需要予測AIに必要なデータは何年分ですか?

最低1年分、理想は3〜4年分です。1年は季節の山が1周するため、3〜4年は同じ月を複数回比べられるためです。毎日発注する業態は日別、月1回計画を立てる業態は月別の受払で足ります。

Q. 卸を通していて末端の売れ行きが分からなくても、需要予測できますか?

できます。予測の対象を自社からの出荷にすれば、自社の在庫を切らさず作りすぎない判断には足ります。得意先別の出荷実績があると、急増が1社に偏っていないかを見分けられます。

Q. 月1回の製造計画にも使えますか?

使えます。月別の出荷・在庫・持ち越しが3〜4年分あれば、3か月先や翌年度の計画を立てる形で予測を出せます。日別のデータは必須ではありません。

Q. データがきれいに整っていません。大丈夫ですか?

大丈夫です。欠けている日があっても、形がばらばらでも、こちらで整えます。ただし、在庫か入荷の記録があると、欠品していた日を除く補正ができるので精度が上がります。

Q. 気温や連休のデータも必要ですか?

最初は不要です。販売実績だけで動かし、外れた日を見てから、効いているものだけを足します。

まとめ

  • 必要なデータは最低1年、理想3〜4年。日付・商品・数量の3列があれば始められる
  • 粒度は業態で決まる。毎日発注なら日別、月1回の計画なら月別の受払
  • 卸経由で末端が見えなくても、自社からの出荷を予測すれば足りる。得意先別があると急増の偏りを見分けられる
  • 欠品していた日を除いて計算する。これを間違えると、年数があっても予測が崩れる
  • 製品と資材は納期が違うので別の仕組みに。外部要因は後から足す
  • 1年未満なら「切らさない下限」から始め、記録を早く始める

需要予測の相談は、データを見せていただく前でも構いません。「何年分あるか」「日別か月別か」「卸経由か」の3つを教えていただければ、できること・できないことをその場でお伝えします。相談する

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この記事を書いた人

佐藤 駿介

佐藤 駿介

Shunsuke Sato

代表 / Founder & Developer, 合同会社SAi

中小企業のAI・業務自動化を専門とする開発者。営業マンや下請けを介さず、ヒアリングから開発・運用まで一貫して直接対応。「月額1万円から始められる、本当に必要なAIだけ」をモットーに、フルスクラッチ開発を中小企業の手の届く価格で提供している。

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