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エクセルの自動化|よくある7例と外注費用の目安

公開: 2026/09/27 / By 佐藤 駿介
読了時間: 約10分
約5,128文字

結論(要点)

エクセルの自動化は3つに分けて考える。①関数とパワークエリで足りるもの(集計・転記・突き合わせ)②マクロ/VBAやPythonが要るもの(複数ファイルの一括処理・帳票の一括作成)③そもそもエクセルを出たほうがよいもの(複数人での同時更新・履歴を残す必要がある業務・入金消込のような照合)。自分でやるとき最大の落とし穴は属人化で、作った人が辞めると誰も触れなくなる。マクロはファイル単位で持ち回るためバージョンが分かれやすく、エラーが出ても止まったことに気づけない。外注の費用は工数×単価で決まり、1業務あたり数人日から。合同会社SAiは1人日30,000円(税別)、初期費用0円の月額制が基本で、最低ラインは月額1万円から。エクセルを出るべきサインは、同じファイルを複数人が編集している/ファイル名に日付や「最新」が付いている/誰も中身を説明できないマクロがある、の3つ。なお関数もマクロも手順に書き下せる作業しか実行できないため、振込名義の突き合わせや手書きの読み取りといった判断が要る部分は生成AIに任せ、確信が持てなかったものだけ「要確認」として人が承認する形にすると止まらない。担当者の仕事は「入力」から「確認」に変わる。

こんにちは、合同会社SAiの佐藤です。中小企業の業務システムを作っています。

「この作業、毎月やってるんですけど、自動化できませんか」

いちばん多いご相談です。そして実際に見せていただくと、半分くらいは自分でやれるものです。外注が要るのは残りの半分で、しかもその理由は「難しいから」ではなく、別のところにあります。

この記事では、どこまで自分でやれて、どこから頼んだほうがいいのかを、実際にご相談の多い7つの例で線引きします。

結論:3つに分けて考える

先に結論です。エクセルの自動化は、この3つに分かれます。

分類手段自分でやれるか
① 表の中で終わる作業関数・パワークエリ・ピボットやれます
② 表の外に出る作業マクロ(VBA)・Python・RPA条件つきでやれます
③ そもそもエクセルが向かない別の仕組みに移す移したほうが早い

①は覚える価値があります。②は作れても、維持できるかが問題になります。③は自動化しようとすること自体が遠回りです。

順に見ていきます。

よくある自動化の7例

1. 複数のファイルを1つに集計する

各店舗・各担当から上がってくるエクセルを、毎月ひとつにまとめる作業です。

パワークエリで終わります。フォルダを指定して読み込む設定を一度作れば、翌月からはファイルを置いて「更新」を押すだけです。マクロは要りません。

エクセルの自動化でいちばん見落とされているのがここです。「マクロを覚えなきゃ」と思っている作業の多くは、パワークエリで足ります。

2. 別のシートやファイルに転記する

Aの表からBの表へ、条件に合う行を書き写す作業です。

同じブックの中なら関数(FILTER・XLOOKUP)で足ります。ファイルをまたぐ場合もパワークエリで読めます。「転記」は、たいてい自動化の中でいちばん簡単な部類です。

3. 日報・週報の集計

担当者が入力した日報を、月末に集計する作業です。

集計自体はピボットテーブルで終わります。問題は集計ではなく、入力のほうです。フォーマットが崩れる、空欄がある、日付が文字列になっている。ここが整っていないと、どんな自動化も止まります。

入力をエクセルからフォーム(Googleフォームや専用の入力画面)に移すと、集計は自動化するまでもなくなります。

4. 請求書・帳票の一括作成

一覧表から、1件ずつPDFの帳票を作る作業です。

ここからマクロ(VBA)の領域です。100件の請求書を1クリックで作る、といったことができます。作れる方はご自身で作っています。

ただし、後述する属人化の問題がいちばん出やすいのもここです。

5. 入金消込

入金明細と請求データを突き合わせて、支払われたものに印をつける作業です。

これは単純な自動化では終わりません。理由は、現実のデータが揃わないからです。

  • 振込名義が請求先と違う(個人名・略称・カタカナ)
  • 1回の入金に複数の請求がまとまっている
  • 手数料が引かれていて金額が一致しない
  • 分割で入金される

関数やマクロで組むと、例外が出るたびに条件を足していくことになり、だんだん誰も触れなくなります。実際、当社にご相談いただくエクセル案件の中で、いちばん「途中まで自作して詰まった」が多いのがこの業務です。

現実的なのは、機械が判断できるものだけ自動で消して、残りを人が見る画面を用意する形です。全部を自動にしようとしないのがコツです。

6. 在庫・発注の管理

在庫数から発注のタイミングと数量を出す作業です。

計算自体は関数でできます。ただ複数人が同時に触る時点でエクセルは苦しくなります。誰かが開いていると編集できない、ファイルが分裂する、という問題です。ここは③(エクセルを出る)に近い領域です。

7. メール送信・システムへの入力

作った帳票をメールで送る、別のシステムに1件ずつ入力する、といった作業です。

エクセルの外に出る処理なので、マクロ・RPA・APIのいずれかが要ります。RPAツールを使う場合の費用はRPA導入費用の相場|内訳と隠れコスト5つにまとめています。相手のシステムにAPIがあるかどうかで、難易度が大きく変わります。APIがあれば確実で速く、なければ画面操作を真似る形になり、相手の画面が変わるたびに止まります。

自分でやるときの、いちばんの落とし穴

技術ではありません。属人化です。

エクセルのマクロには、システムと違う特徴があります。

ファイル単位で持ち回ること。コピーされ、メールで送られ、「最新版_修正2.xlsm」が増えていきます。どれが本物か分からなくなります。

作った人しか中身が分からないこと。多くの場合、マクロを書いた方は本業が別にあります。引き継ぎ資料は作られません。その方が異動・退職すると、誰も触れないけれど毎月動いているファイルが残ります。

止まったことに気づけないこと。システムならエラーが記録されて通知されますが、マクロは黙って止まります。数字がおかしいことに、月末に気づきます。

自分で作るのが悪いわけではありません。作るなら、他の人が読める形にしておくことが、自動化そのものより大事だ、という話です。

エクセルを出るべき3つのサイン

次のどれかに当てはまったら、自動化より先に、置き場所を変えることを考えたほうが早いです。

  1. 同じファイルを複数人が編集している(順番待ちが発生している)
  2. ファイル名に日付や「最新」「確定」が付いている(どれが本物か分からなくなっている)
  3. 誰も中身を説明できないマクロがある(動いているが、直せない)

この状態でマクロを足すと、複雑さが増えるだけになります。

マクロにできないこと、AIにできること

ここまでは「決まった手順を繰り返す」自動化の話でした。関数もマクロも、手順に書き下せるものしか実行できません。「A列が『請求済』ならB列に日付を入れる」——この形にできる作業だけです。

ところが、実際に時間を取られているのは、その手前の判断だったりします。

  • 振込名義「カ)ヤマダ」が、請求先「株式会社山田商店」と同じだと判断する
  • 手書きやFAXの注文書から、品番と数量を読み取る
  • 「たしか2,600円くらい」という但し書きを、確定した金額と区別する
  • メーカーごとに書式がバラバラな資料から、同じ項目を拾う

これを条件分岐で書き切ろうとすると、例外が出るたびに条件が増えます。入金消込で詰まるのは、ここです。

生成AIを使うと、この部分を任せられます。ただし「全部AIに任せる」ではありません。実用になるのは、この形です。

  1. AIが読み取って、項目に振り分ける
  2. 確信が持てなかったものは「要確認」として残す
  3. 人はそこだけ見て、承認する

全部を自動にしないから、止まりません。担当者の仕事が「入力」から「確認」に変わります。

実際の画面で確かめられます

文章で読むより早いので、動く画面を用意しています。登録不要で、そのまま触れます。

AIに社内システムを触らせるのが不安な場合は、実行できる操作をあらかじめ決めて、その範囲の中だけで動かす仕組みを作ります。データを書き換える操作は担当者の承認を必須にし、一度に処理できる件数にも上限を設けます。考え方はサービスのページに書きました。

外注したときの費用

費用は工数 × 単価で決まります。1業務あたり数人日からで、規模によって変わります。

当社の場合、1人日30,000円(税別)。人月に直すと60万円で、一般的な相場(人月80万〜120万円)の下です。代理店を通さず下請けにも出さないためで、詳しくはシステム開発費用の相場|見積書の中身を公開に、見積書の区分と工数の配分まで出しています。

支払いは初期費用0円の月額制が基本です。最低ラインは月額1万円から、範囲をうかがったうえで先にお伝えします。稼働するまで料金は発生しません。

安く済ませるコツは、範囲を切ることです。「エクセル業務を全部」ではなく、いちばん時間を取られている1つから始める。効果が出てから次を足すほうが、失敗したときの損も小さく済みます。

なお、賃上げとセットになりますが、厚生労働省の業務改善助成金を使える場合もあります。対象経費の例に「顧客管理情報のシステム化」が明記されています(詳しくはこちら。当社は申請代行はしていません)。

まとめ

  • エクセルの自動化は3つに分かれます。表の中で終わるもの/外に出るもの/そもそも向かないもの
  • 「マクロを覚えなきゃ」と思っている作業の多くは、パワークエリで足ります
  • 入金消込は例外が多く、全部を自動にしようとすると詰みます。機械が判断できるものだけ消して、残りを人が見る形に
  • 自分で作るときの最大の落とし穴は技術ではなく属人化。作った人が辞めると誰も触れなくなります
  • 複数人が同じファイルを編集している/「最新」が付いたファイルがある/誰も説明できないマクロがある——このどれかなら、自動化より置き場所を変えるほうが早い
  • マクロは「手順」しか実行できません。読み取り・突き合わせといった判断が要る部分は生成AIに任せ、確信が持てないものだけ人が確認する形にすると、止まらない自動化になります

「これは自分でやれますか」「頼むといくらですか」といったご相談は、お問い合わせからお気軽にどうぞ。

実際のファイルを拝見したうえで、関数やパワークエリで足りるものは、やり方だけお伝えします。そのうえで、判断が要る部分だけを仕組みにするご提案をします。エクセルの自動化として考えていた作業が、AIを入れるとそもそもエクセルを開かなくてよくなることも珍しくありません。範囲をうかがってから、先に金額をお伝えします。

なお、実際の帳票やデータを拝見する場合は、秘密保持契約(最短即日・無料)を結んでからお預かりし、検証後に削除します。

この記事を書いた人

佐藤 駿介

佐藤 駿介

Shunsuke Sato

代表 / Founder & Developer, 合同会社SAi

中小企業のAI・業務自動化を専門とする開発者。営業マンや下請けを介さず、ヒアリングから開発・運用まで一貫して直接対応。「月額1万円から始められる、本当に必要なAIだけ」をモットーに、フルスクラッチ開発を中小企業の手の届く価格で提供している。

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