電子カルテを入れたのに、紙がなくならない。
サロンからいただく相談で、いちばん多い形です。アプリは契約している。スタッフも使い方は分かっている。それでも受付には紙のカルテが積まれたままで、結局どちらも見ることになる。
この記事では、なぜそうなるのかを1つの原因にしぼって説明し、市販の電子カルテで足りる場合と、紙を使い続けたまま電子化する方法を、費用つきで並べます。
結論を先に書きます。続かない理由は製品の使いにくさではなく、「施術のあとに入力する」という作業が現場に残っていることです。
続かないのは、入力が残っているからです
電子カルテを入れても、作業の流れはこうなります。
施術中は手が離せません。だからその場では紙に書きます。これは速いし、現場として正しい。
問題はそのあとです。閉店後にもう一度、同じことをアプリに打ち直す。
この作業は、忙しい日に最初に落ちます。1日飛ぶと、その日のお客様の情報は紙にしかありません。次に見るときは紙を探すことになり、紙とアプリの二重管理に戻ります。
製品を替えても、この構造は変わりません。入力という作業が残っているかぎり、同じことが起きます。
まず、市販の電子カルテで足りるかを確かめてください
いきなり作る話に進む前に、こちらを確認してください。条件が合うなら、市販の製品のほうが速くて確実です。
| 市販の電子カルテが向く | 作ることを考えたほうがいい | |
|---|---|---|
| 過去の紙カルテ | ほとんどない(新規開業) | 何百枚とある |
| 店舗数 | 1店舗 | 複数店舗で様式がばらばら |
| カルテの項目 | 一般的な項目で足りる | 自店独自の項目がある |
| 入力 | スタッフが続けられる | 何度か試して続かなかった |
| 予約・会計 | まとめて1つにしたい | すでに別で動いている |
| 使い始めたい時期 | すぐ | 1か月ほど待てる |
サロン向けの電子カルテには、Bionly、サロンアンサー、カルテナ、BeKARTEなどがあります。月額数千円から使えるものが多く、予約や会計と一体になっている製品もあります。
新規開業で、1店舗で、過去の紙がないなら、市販の製品を入れてください。この記事の続きを読む必要はありません。
紙を使い続けたまま電子化する、という方法
左の列に当てはまらなかった場合です。
考え方を逆にします。紙をやめさせるのではなく、紙を書いたまま電子化する。
スタッフがやることは撮ることと、承認することだけになります。打ち直す作業がなくなるので、落ちる場所がありません。
施術後の音声メモも同じように扱えます。手が濡れていて書けないときは、ひとこと吹き込んでおけば、あとで項目に振り分けられます。
実際に作った例
複数店舗のサロンで、この形を作りました。
- 紙カルテを撮影し、施術後の音声メモとあわせて生成AIが読み取る
- サロンごとにカルテの様式を設定できるようにし、項目に振り分ける
- 取り込む前に、スタッフが確認して承認する
- 読み取りに自信が持てなかった項目は「要確認」として残し、人の判断に回す
カルテ約1,700件・写真約1,600枚が蓄積されています。費用は月額1万〜4万円(税別)、初期費用は0円です。すでに使っている電子カルテとつなぐ場合は、内容によって個別見積もりになります。
進め方も、いきなり全店ではありません。1サロンの紙カルテで読み取り方を固めてから、複数サロンへの対応と音声メモの取り込みを足しました。
詳しい実装の範囲と、対応できない条件は紙カルテ・音声メモの電子カルテ化の事例に書いています。カルテそのものを一から作った施術管理(電子カルテ)システムの事例もあります。
過去の紙カルテは、どうするか
いま棚にある紙をどうするか、という話も必ず出ます。
全部を電子にする必要はありません。現実的なのはこの順です。
- これから書く分を、撮って取り込む流れにする
- まだ来ているお客様の分だけ、過去のカルテを取り込む
- 何年も来ていないお客様の紙は、そのまま保管しておく
いちどに全部を電子化しようとすると、その作業自体で止まります。来店時に「このお客様はまだ紙だけ」と分かるようにしておけば、来たときに取り込めば済みます。
費用の目安
| 費用 | 期間 | |
|---|---|---|
| 市販の電子カルテ | 月額数千円〜 | すぐ |
| 紙カルテの読み取りを作る | 月額1万〜4万円(税別)・初期0円 | 約1か月 |
| 既存の電子カルテとつなぐ | 個別見積もり | 内容による |
当社の場合、初期費用はいただかず、動き始めた月から課金です。読み取りがうまくいくかは紙の状態によるので、先に実物を数枚お預かりして試します。そこまでは無料です。
気をつけること
読み取りは完璧になりません。手書きの癖、かすれ、独自の略語があると、間違えます。だから承認を挟みます。「全部自動で入ります」と言う会社があれば、そこは疑ってください。
お客様の情報を扱います。どこにデータを置くか、誰が見られるか、AIに何を送るかは、始める前に決めておくべきところです。読み取りに使ったあとの画像をどう扱うかも含みます。
スタッフが撮り忘れたら、入りません。打ち直すよりはるかに軽い作業ですが、ゼロにはなりません。受付に置く・施術台に置くなど、撮る場所を決めておくと定着します。
よくある質問
Q. エステの電子カルテは無料で作れますか?
無料のツールを組み合わせれば、形は作れます。表計算ソフトやメモアプリで項目を決めて記録するだけでも、紙よりは探しやすくなります。ただし、お客様の情報を扱うため、誰が見られるかの管理と、端末が壊れたときの備えは要ります。店舗が複数あったり、スタッフが数名以上いる場合は、月額数千円の製品を使うほうが結果的に安く済みます。
Q. サロンの電子カルテは、どれがおすすめですか?
1店舗で新規開業なら、予約や会計と一体になっている製品が手間が少ないです。Bionly、サロンアンサー、カルテナ、BeKARTEなどがあります。選ぶときは、機能の多さより施術後の入力が何秒で終わるかを見てください。そこが重ければ、どの製品でも続きません。過去の紙カルテが何百枚もある場合や、自店独自の項目がある場合は、製品だけでは解けないことがあります。
Q. 紙カルテを電子化する費用はいくらですか?
市販の電子カルテに切り替えるだけなら月額数千円からです。紙を撮影して読み取る仕組みを作る場合は、当社では月額1万〜4万円(税別)・初期費用0円が目安で、期間は約1か月です。過去のカルテを業者に代行入力してもらう方法もありますが、枚数ぶんの費用がかかり、増え続ける新しいカルテには対応できません。
Q. 電子カルテを入れたのに、紙がなくなりません。なぜですか?
施術のあとに入力する作業が残っているためです。施術中は手が離せないのでその場では紙に書き、閉店後に打ち直すことになります。この打ち直しは忙しい日に最初に落ち、1日飛ぶと紙を見るしかなくなって、二重管理に戻ります。製品を替えても同じことが起きます。入力そのものをなくす形にしないと、解決しません。
Q. いま使っている電子カルテは、やめないといけませんか?
やめなくて構いません。読み取った内容を、いまお使いの電子カルテに登録する形も作れます。ただし、その製品がデータを受け取る口(API など)を用意しているかによります。用意がない場合はCSVでの取り込みになり、その場で反映されなくなります。契約前に、外部からデータを入れられるかを確認しておくと判断が早くなります。
Q. 手書きの字が汚くても読み取れますか?
人が読めるものなら、たいてい読み取れます。ただし、かすれや、お店独自の略語(薬剤名の省略など)は間違えます。だから取り込む前に人が確認する設計にしています。独自の略語は、よく使うものを先に登録しておくと精度が上がります。実際の紙を数枚お預かりすれば、読み取れるかどうかをその場で確かめられます。
まとめ
- 電子カルテが続かないのは、製品ではなく施術後の入力が残っていることが原因
- 新規開業・1店舗・過去の紙がないなら、市販の製品が速くて確実
- 過去の紙が何百枚もある、様式が店ごとに違う、入力が続かなかった、のいずれかなら作ることを検討する
- 紙をやめさせず、撮って承認するだけにすると落ちる場所がなくなる
- 過去の紙は全部やらない。まだ来ているお客様の分だけでいい
- 費用は月額1万〜4万円(税別)・初期0円・約1か月
実際の紙カルテを数枚お預かりすれば、読み取れるかどうかをお見せできます。そこまでは無料です。お問い合わせからご連絡ください。