こんにちは、合同会社SAiの佐藤です。ECの商品登録まわりのシステムを作っています。
商品を1点ネットに出すために、こんなことをしていないでしょうか。
- メーカーの資料を見ながら、寸法を1つずつ入力欄に書き写す
- 画像を1枚ずつ開いて、切り抜き、ラベルを貼り、名前を付け直す
- タイトルと説明文を考える。セールのたびに、また考え直す
これがいわゆる「ささげ業務」です。点数が増えるほど効いてきて、新商品が出せない原因になります。
この記事では、ささげ業務の中身と外注の相場を整理したうえで、どこを人がやり続け、どこを仕組みに任せるかを書きます。当社が実際に開発した案件の数字も出します。
結論:撮影は人が要る。採寸と原稿は仕組みで減らせる
先に結論です。3つの工程は、自動化のしやすさがまったく違います。
| 工程 | 中身 | 仕組みに任せられるか |
|---|---|---|
| 撮影 | 商品を撮る | 難しい。人とモノと場所が要る |
| 採寸 | 寸法を測って表記する | 資料に寸法があれば、ほぼ任せられる |
| 原稿 | タイトル・説明文を書く | 任せられる。ただし人の確認は残す |
撮影だけは、どうやっても人が商品を持って撮る必要があります。一方、採寸と原稿は「情報を移し替える作業」と「文章を組み立てる作業」なので、今の技術で大きく減らせます。
「ささげ業務を全部なくす」と考えると手が止まります。3つのうち2つを減らす、と考えるのが現実的です。
ささげ業務とは「撮影・採寸・原稿」の略
ささげ業務は、EC運営で使われる言葉で、「さ」撮影・「さ」採寸・「げ」原稿の頭文字をとったものです。商品ページに載せる情報を作る工程をまとめて指します。
それぞれの中身は次のとおりです。
撮影
商品の写真を撮り、加工する工程です。1点につき複数カットを用意し、色味を実物に合わせ、スマートフォンで見たときの見え方まで考えます。アパレルではモデル着用のカットが必要になることもあります。
採寸
商品の寸法を測り、表記する工程です。アパレルなら着丈・身幅・肩幅・袖丈など。アパレル以外でも、アクセサリーや小物のパーツサイズが対象になります。
ここで見落とされがちなのが、メーカーの資料にすでに寸法が載っているケースです。その場合、実際にやっているのは「測る作業」ではなく「書き写す作業」になります。あとで触れますが、ここが自動化の狙い目です。
原稿
商品名、説明文、素材や質感、商品の背景などを文章にする工程です。検索で見つけてもらうために、ブランド名・品番・色・原産国といった情報を入れ込む作業も含まれます。
外注したときの料金相場
ささげ業務は外注できます。公開されている情報から、相場を整理します。
工程ごとの単価
ECのミカタが公開している相場表では、次のようになっています。
| 工程 | 相場(1商品あたり) |
|---|---|
| 郵送撮影 | 1,000〜5,000円 |
| スタジオ撮影 | 2,000〜10,000円(1時間 8,000〜20,000円) |
| 出張撮影 | 1時間 10,000〜30,000円 |
| 採寸 | 400〜3,000円 |
| 原稿作成 | 100〜8,000円 |
別途、配送料や交通費がかかる場合があります。
まとめて依頼した場合
ささげ業務の専業である株式会社ささげ屋は、自社サイトで金額を公開しています。
- 最小の依頼は1回10万円程度から
- アパレル・ファッション雑貨の月次依頼:月150万円〜/型単価の平均5,000円〜(毎月300型程度)
- スポット・シーズン依頼:40万円〜/型単価8,000円〜(1回50型程度)
- ジュエリー・高級雑貨:50万円〜/型単価10,000円〜
- 食品(調理なし):15万円〜/型単価15,000円〜
毎月300型を出す会社なら、年間1,800万円の固定費という計算になります。品質は上がりますが、点数が増えるほど比例して増えていく費用でもあります。
外注が向く会社と、仕組みにすべき会社
どちらが正しいという話ではなく、点数と頻度で決まります。
外注が向いている
- 年に数回、シーズンごとにまとめて出す
- 撮影の品質がそのまま売上に直結する(アパレル、ジュエリーなど)
- 社内に人を置くより、必要なときだけ頼むほうが安い
仕組みにしたほうがよい
- 毎月、継続してまとまった数を出している
- メーカーから寸法や仕様の資料をもらえている
- セールやイベントのたびに、既存商品の原稿を書き直している
- 外注費が「点数 × 単価」で読めてしまい、増やすほど利益が減る
3つめが当てはまる会社は特に多いと思います。新規登録の話だと思われがちですが、実際にはすでに出している商品の原稿を、季節やセールのたびに書き直す作業が積み上がっています。
実例:アパレル通販で、作業を約9割減らした
当社が開発した案件です(社名は秘密保持のため非公開)。
アパレルの通販会社で、商品を1点登録するたびに、メーカー資料から寸法を書き写し、画像を1枚ずつ加工し、タイトルと説明文を考える、という工程を担当者が手作業で行っていました。さらにセールや季節のイベントが来るたびに、商品を1点ずつ見て原稿を書き直していました。
作ったのは次のものです。
- メーカーの資料から寸法データをOCRで読み取り、商品情報へ取り込み
- 商品画像の加工(ラベルの貼り付け、リネーム、品番ごとの振り分け)をまとめて処理
- 販売データを取り込み、商品ごとの反応を集計
- イベント・季節に合わせたタイトルと説明文を生成AIが作成
- 反響の良かった打ち出しを残し、次の機会に呼び出して再び使える形で蓄積
- 出す前に担当者が確認して直せる画面
結果として、イベントに合わせたタイトル・説明文を用意する作業が約90%減りました。費用は月額35,000円です。
最後の「反響の良かった打ち出しを残す」が、地味ですが効きます。前に当たった見せ方は、たいてい担当者の記憶の中にしかありません。担当が変わればゼロからやり直しですし、同じ商品で去年うまくいった打ち出しを、今年もう一度出すことすらできていない会社が多いです。
詳しい範囲と、対応できない条件は開発事例の詳細ページにまとめています。
どこから手をつけるか
順番があります。原稿 → 採寸 → 画像加工の順が早いです。
1. 原稿
いちばん早く効きます。商品情報と過去の販売データがあれば、文章は作れます。新しい機材も撮影の段取りも要りません。まず1カテゴリだけ試して、担当者が手直しした量を見れば、使いものになるかがすぐ分かります。
2. 採寸
メーカー資料に寸法が載っているかを、先に確認してください。載っているなら、読み取って商品情報へ入れるところまで自動化できます。載っていなければ、実物を測るしかありません。ここは正直に見極める必要があります。
3. 画像加工
撮影そのものは残りますが、撮ったあとの作業(切り抜き、ラベルの貼り付け、リネーム、品番ごとの振り分け)はまとめて処理できます。1枚ずつ開いて保存し直している時間が長いなら、ここも大きいです。
気をつけること
- 撮影は残ります。「ささげ業務がなくなる」という期待で始めると、必ずずれます
- 生成した文章は、人が見てから出す。無確認で自動掲載する運用は勧めません。商品の言い回しは、その会社の資産だからです
- 販売実績が少ない新商品は精度が下がります。反応の裏づけが取れないためです。まずは実績のある商品から始めてください
- 外注をやめる前提で考えない。撮影は外注、採寸と原稿は自社の仕組み、という分け方がいちばん現実的です
よくある質問
Q. ささげ業務の費用はいくらくらいですか?
A. 外注する場合、1商品あたり撮影1,000〜5,000円(郵送)、採寸400〜3,000円、原稿100〜8,000円が相場です。まとめて依頼する場合は、アパレルで型単価5,000円〜、月300型で月150万円〜という公開事例があります。自社で仕組みを作る場合は、当社の料金で初期費用0円・月額3万〜5万円(税別)が目安です。範囲を聞いたうえで、先に金額をお伝えします。
Q. アパレル以外でも当てはまりますか?
A. 当てはまります。採寸はアクセサリーや小物、家具などでも発生しますし、原稿づくりは商材を問いません。食品のように調理や盛り付けが要るものは、撮影の比重が大きくなります。
Q. 撮影だけ外注して、残りを自社でやるのは変ですか?
A. 変ではありません。むしろその形がいちばん現実的です。撮影は人と場所が要るので外に出し、書き写しと文章づくりは社内の仕組みに寄せる、という分け方です。
Q. 「ささげ」とは何の略ですか?
A. 「撮影」「採寸」「原稿」の頭文字です。EC運営の現場で使われる言葉で、一般的な辞書には載っていません。
まとめ
- ささげ業務は撮影・採寸・原稿の3工程。自動化のしやすさはまったく違う
- 撮影は人が要る。採寸と原稿は仕組みで減らせる
- 外注の相場は1商品あたり撮影1,000〜5,000円・採寸400〜3,000円・原稿100〜8,000円。まとめて頼むとアパレルで型単価5,000円〜
- 分かれ目は点数と頻度。毎月まとまった数を継続して出すなら、仕組みにしたほうが安くなる
- 実例では、寸法のOCR・画像加工・原稿生成をつないで作業を約90%削減、月額35,000円
- 手をつける順番は原稿 → 採寸 → 画像加工
「商品を出すのが追いつかない」「セールのたびに原稿を書き直していて終わらない」という段階でも、お問い合わせから相談してください。いまの出し方を聞いたうえで、外注のままがいいのか、仕組みにしたほうがいいのかからお答えします。