「SFAを入れたが、営業担当が入力しない。結局、案件の状況は本人に聞くしかない」 「Excelの案件一覧を更新するのが月1回になっていて、数字が信用できない」 「ツールが多すぎて、うちの規模で何を選べばいいのか分からない」
中小企業の経営者や営業マネージャーから、こういう相談をよく受けます。SFA(営業支援ツール)の失敗は、機能不足よりも入力が続かないことで起きます。だからこの記事では、料金や機能の前に「誰が、いつ、何を入力するのか」で選び方を分けます。
比較するのは8ツール。料金はすべて2026年9月に公式サイトで確認したものです(税別・変更されることがあります)。最後に、入力そのものが続かない会社向けの「メールから案件ボードを自動で作る」という選択肢も紹介します。
結論:SFAは「誰が入力するか」で決まる
| 会社の状況 | 合うツール | 月額の目安 |
|---|---|---|
| 営業が1〜5人で、まず案件を一覧にしたい | HubSpot(無料)、Zoho CRM、Salesforce Starter | 0円〜3,000円/ユーザー |
| 営業10人以上で、営業の型(進め方)を決めたい | Mazrica Sales、GENIEE SFA/CRM、ネクストSFA、eセールスマネージャー | 3万〜7万円/月〜 |
| 自社の業務に合わせて画面を作りたい | kintone | 1,800円/ユーザー(10人〜) |
| 入力が続かない。やり取りはメール中心 | メールから自動で作る案件ボード(自社開発) | 初期0円・5万円/月 |
CRM(顧客管理)との違いを先に整理します。CRMは「お客様の台帳」、SFAは「商談の進み具合」を管理するものです。多くのツールは両方を兼ねていますが、中小企業で本当に困っているのは、たいてい後者の「いま誰がどの案件をどこまで進めているか」です。CRM寄りの比較は顧客管理アプリ比較7選とAI CRM比較8選に分けて書いています。

SFAを選ぶ4つの軸
軸1:入力の負担
SFAが止まる原因の第一位です。営業担当は外に出ていて、帰社してから入力する時間がありません。スマホから1分で入力できるか、メールやカレンダーから自動で取り込めるかを先に確かめます。入力項目は最初は5つ以内に絞るのが現実的です。
軸2:料金の単位
「1ユーザーあたり月額」のツールと、「10ユーザー分をまとめて月額」のツールがあります。営業が3人の会社が10ユーザー単位のツールを入れると、7人分を払うことになります。逆に15人以上なら、まとめ買いのほうが安くなることがあります。
軸3:営業の型を決めたいかどうか
「初回訪問→ヒアリング→見積→クロージング」のような段階(フェーズ)を決め、各段階でやることを揃えたい会社は、国産SFAが得意です。まだ型がなく、まずは案件の一覧が欲しいだけなら、無料〜低価格の海外ツールで足ります。
軸4:いまの道具とつながるか
メール(Gmail・Outlook)、カレンダー、名刺管理、会計ソフト、LINEなど、すでに使っているものと連携できるかを確かめます。連携できないと、二重入力が発生してやはり止まります。
営業支援ツール(SFA)比較表
| ツール | 料金(税別) | 単位 | 向いている会社 |
|---|---|---|---|
| HubSpot Sales Hub | 無料(2ユーザーまで)/Starterは有料 | シート | まず無料で案件一覧を作りたい |
| Zoho CRM | 無料(3ユーザーまで)/スタンダード 月1,760円 | ユーザー | 低価格で機能もそろえたい |
| Salesforce Starter Suite | 月3,000円 | ユーザー | 将来 Salesforce に育てたい |
| kintone | スタンダード 月1,800円(10ユーザー〜) | ユーザー | 自社の業務に合わせて画面を作りたい |
| Mazrica Sales | Starter 月6,500円/ID(10ID〜=月7万円〜) | ID | 10人以上で営業の型を作りたい |
| GENIEE SFA/CRM | 要問い合わせ(公式ページで料金を確認) | 10ユーザー単位 | 国産で操作が簡単なものがいい |
| ネクストSFA | スターター 月30,000円(5ユーザー) | プラン | 5〜15人で名刺・MAまで見据える |
| eセールスマネージャー | ベーシック 月3,500円/ユーザー(5〜30名) | ユーザー | 定着支援まで手厚く見てほしい |
各ツールの特徴
1. HubSpot Sales Hub
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 無料(2ユーザーまで)。Starter はシート単位の有料(公式サイトの表示は為替で変わります) |
| 対応規模 | 個人〜中堅 |
| 特徴 | 案件のボード表示、メール連携、フォーム、簡単な自動化 |
| 向き | まず無料で案件を一覧にしたい会社 |
無料でも、案件をカード形式で段階ごとに並べるボード、メールの送受信の記録、簡単な自動化が使えます。世界的に利用者が多く、日本語の情報も豊富です。
有料のStarterはシート(座席)単位の課金で、機能の上限が上がります。注意点は、料金表示が為替で変わることと、営業以外の部門も使い始めると「Hub」が増えて金額が読みにくくなることです。まず無料で始め、足りなくなったら1シートずつ増やす使い方が向いています。
2. Zoho CRM
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 無料(3ユーザーまで)。スタンダード 月1,760円/ユーザー、プロフェッショナル 月3,260円/ユーザー(年払い) |
| 対応規模 | 個人〜中堅 |
| 特徴 | 案件管理・見積・ワークフロー・AI(Zia)まで一通り |
| 向き | 低価格で機能もそろえたい会社 |
1ユーザー月1,760円からで、案件管理だけでなく見積書やワークフロー、AIによる予測まで入っています。初期費用はなく、月払いも選べます。15日間の無料トライアルがあります。
一方で、機能が多いぶん最初の設定に時間がかかります。日本の商習慣(担当者の異動、請求のまとめ方)に合わせた項目は自分で足す必要があります。
3. Salesforce Starter Suite
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 月3,000円/ユーザー(月払い・年払い) |
| 対応規模 | 小規模〜中堅 |
| 特徴 | Salesforce の営業・サービス・マーケの基本機能をまとめたもの |
| 向き | 将来 Salesforce の上位版に育てたい会社 |
Salesforce の入口として用意された小規模向けのセットで、月3,000円/ユーザーから始められます。上位の Pro Suite は月12,000円/ユーザー・年契約です。
大企業で使われている土台と同じなので、会社が大きくなっても乗り換えずに済みます。ただし、その分だけ画面や用語は「営業組織」を前提にしていて、3人の会社には重く感じることがあります。
4. kintone(サイボウズ)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | ライト 月1,000円/ユーザー、スタンダード 月1,800円/ユーザー(いずれも10ユーザーから) |
| 対応規模 | 小規模〜中堅 |
| 特徴 | 案件管理のアプリを自分で作れる。テンプレートあり |
| 向き | 自社の業務に合わせて画面を作りたい会社 |
SFAの既製品ではなく、案件管理の「アプリ」を自分で作る土台です。項目も画面も自由に決められるので、業種が特殊で既製のSFAが合わない会社に向きます。案件管理のテンプレートも用意されています。
注意点は、最低10ユーザーからの契約であること(3人でも10人分)、そして「自由に作れる」は「作る人が要る」と同じ意味であることです。社内に担当者がいないと、作ったまま放置されます。
5. Mazrica Sales(マツリカ)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | Starter 月6,500円/ID(最低10ID=月70,000円〜)。Growth 月12,500円/ID。初期費用0円 |
| 対応規模 | 10人〜 |
| 特徴 | 案件ボードでの直感的な操作、AIによる案件のリスク予測 |
| 向き | 10人以上で、営業の型を作りたい会社 |
案件をカードで並べ替える画面が分かりやすく、「入力しやすいSFA」として設計されています。メールやカレンダーとの連携で入力の手間を減らし、AIが案件のリスクや受注確度を出します。
最低10IDからなので、月7万円から始まります。支払いは年間契約の一括払いです。営業が5人の会社では割高になります。
6. GENIEE SFA/CRM(旧ちきゅう)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 要問い合わせ(2026年9月時点で公式の料金ページを確認できず。掲載値は書いていません) |
| 対応規模 | 10人〜 |
| 特徴 | 国産。項目の設定が簡単で、定着率を重視 |
| 向き | 操作が簡単な国産SFAを、10人前後で使いたい会社 |
国産SFAで、項目やグラフの設定が画面上でできるので、IT担当がいなくても運用できます。料金は公式の料金ページで確認してください。
こちらも10ユーザー単位です。5人の会社では1人あたり月6,900円になる計算なので、人数で判断してください。
7. ネクストSFA
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | スターター 月30,000円(5ユーザー)、ベーシック 月75,000円(15ユーザー、16人目から月5,000円/ID) |
| 対応規模 | 5〜30人 |
| 特徴 | 名刺管理・MA・帳票をオプションで追加できる |
| 向き | 5人前後から始めて、営業の周辺業務まで広げたい会社 |
5ユーザーで月30,000円から始められ、国産SFAの中では少人数向けのプランがある点が特徴です。MA(見込み客への自動配信)や帳票発行はオプションで、必要な分だけ足せます。無料トライアルがあります。
オプションを足すと月額が上がりやすいので、最初に「何を使うか」を決めてから申し込むのが安全です。
8. eセールスマネージャー Remix Cloud(ソフトブレーン)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | ベーシック 月3,500円/ユーザー(5〜30名向け)、プロフェッショナル 月6,000円/ユーザー |
| 対応規模 | 5人〜大企業 |
| 特徴 | 導入時の設定支援と定着支援が手厚い。日報・スケジュール・地図と連動 |
| 向き | 「入れたあとに使い続ける」ところまで伴走してほしい会社 |
日本の営業組織向けに長く作られてきたSFAで、日報や訪問計画、地図と連動した営業管理が得意です。導入時の設定と定着の支援を人が行う点が、海外ツールとの大きな違いです。
その分、少人数で「とりあえず案件一覧が欲しい」だけの会社には重く、価格も高めになります。
ケース別おすすめ
| ケース | おすすめ |
|---|---|
| 営業1〜3人。まず案件を一覧にしたい | HubSpot(無料)、Zoho CRM |
| 5人前後。営業の段階を決めて回したい | ネクストSFA、eセールスマネージャー |
| 10人以上。営業の型を作り、数字で管理したい | Mazrica Sales、GENIEE SFA/CRM |
| 将来の拡大を見越して土台を選びたい | Salesforce Starter Suite |
| 業種が特殊で、既製の画面が合わない | kintone |
| 入力が続かない。やり取りはメール中心 | メールから作る案件ボード(後述) |
入力が続かない会社には、「入力しない」SFAという選択肢
ここまでのツールはすべて、担当者が入力することを前提にしています。入力の手間を減らす工夫はあっても、ゼロにはなりません。
当社が受託開発で作っているのは、その前提を外した仕組みです。営業担当が普段どおりメールを使うだけで、既存のメールサーバーから受信・送信を読み取り、相手ごとに「自社対応待ち/相手の返信待ち/対応完了」を送受信の日付から自動で判定して、案件ボードにします。しばらく止まった案件は「フォロー候補」に移り、毎朝、返信が必要な案件と一緒に担当者へ届きます。要点と次の一手は生成AIが下書きしますが、守秘契約のある案件は案件単位でAIに送らない設定にできます。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 初期費用0円・月額5万円(税別)。利用人数と連携するメールアカウント数で変動。AI API・サーバー利用料は別途 |
| 期間 | 案件ボードまで約3週間。送受信つきの専用メーラーまで含めると、さらに約1か月 |
| 実績 | IT系ベンチャー(受託開発・20名規模)に納品し、同じ仕組みを複数社で利用中 |
| 前提 | メールサーバーがIMAP/SMTPに対応していること。電話・対面の約束はボードに出ない |
実際に動く画面はメールから作る案件ボードのデモ(架空のデータで操作できます)で、費用・向かないケース・FAQは「営業メールの返信待ちや対応漏れを、担当者に聞かなくても分かるようにしたい」への答えにまとめています。開発事例の詳細はIT系ベンチャーの事例へ。商談の録音まで取り込み、AIが営業マネージャー役を担う発展形(月額8万円)は健康機器販売店の事例に書いています。
CRM・SFAをフルスクラッチで作った例としては、専門商社のCRM/SFA(月額2万〜6万円)もあります。
よくある質問
Q. SFAとCRMは、どちらを先に入れるべきですか?
A. 困っていることで決めます。「案件がどこで止まっているか分からない」ならSFA、「お客様の情報が担当者の頭の中にしかない」ならCRMです。中小企業では、最初の困りごとはたいてい前者です。多くのツールは両方を兼ねているので、まず案件管理から使い始めて構いません。
Q. 無料のSFAで足りますか?
A. 営業が2〜3人で、案件を一覧にして共有したいだけなら足ります。HubSpot は2ユーザー、Zoho CRM は3ユーザーまで無料です。足りなくなるのは、人数が増えたとき、営業の段階ごとにやることを決めたいとき、他の道具と連携したいときです。
Q. 入力が続かないのは、ツールのせいですか?
A. 半分はそうで、半分は違います。入力項目が多すぎる、スマホで入力できない、入力しても自分に返ってくるものがない、という設計の問題はツールと運用で直せます。それでも続かない会社は、メールやカレンダーから自動で取り込む仕組みに切り替えたほうが早いです。
Q. 10ユーザー単位のツールを、5人で使うと損ですか?
A. 1人あたりの単価は倍になります。ただし、5人でも国産SFAの支援や機能が必要なら、それでも安いことがあります。比べるのは「1人あたり」ではなく「月に払う総額と、それで減る手間」です。
Q. 自社開発は高くなりませんか?
A. 当社の場合、初期費用0円・月額制で、稼働するまで課金は始まりません。メールから作る案件ボードは月額5万円(税別)で、範囲を聞いたうえで先に金額をお伝えします。既製のSFAで足りるなら、そう言います。
まとめ
- SFAの失敗は機能不足ではなく、入力が続かないことで起きる
- 営業1〜5人なら、HubSpot(無料)・Zoho CRM・Salesforce Starter のような1人単位の料金から
- 10人以上で営業の型を作るなら、Mazrica Sales・GENIEE SFA/CRM・ネクストSFA・eセールスマネージャーのような国産SFA
- 業種が特殊なら kintone で自作。作る人がいることが条件
- 入力が続かない会社は、メールから案件ボードを自動で作る仕組みが選択肢になる(初期費用0円・月額5万円)
いまの案件管理の状況をお問い合わせから聞かせてもらえれば、既製のツールで足りるか、作ったほうがいいかからお答えします。
参考にした資料
- HubSpot「Sales Hub の料金」(2026年9月確認)
- Zoho「Zoho CRM 料金プラン」(2026年9月確認)
- Salesforce「Starter Suite 料金」(2026年9月確認)
- サイボウズ「kintone 料金」(2026年9月確認)
- マツリカ「Mazrica Sales 料金プラン」(2026年9月確認)
- ネクストSFA「料金」(2026年9月確認)
- ソフトブレーン「eセールスマネージャー 料金」(2026年9月確認)
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